税理士法人Itseki

自社で導入を行う「セルフインプリメント」方式を選び、わずか2週間でスムーズなグローバル会計システム導入に成功!

写真:税理士法人Itseki 代表パートナー/公認会計士・税理士 須﨑 要暁 氏

国際会計・税務、クロスボーダーM&A、フォレンジックなどのサービスを支援しているItseki(イッセキ)。国際専門家ネットワークであるGeneva Group International (GGI)にも加盟しており、世界120カ国に提携事務所を有している、公認会計士・税理士によるプロフェッショナル・ファームです。

同社では2023年、イタリアに本社を構える製薬会社の経理支援、税務顧問サービスをスタート。その際の会計システムとして選んでいただいたのがmultibookです。今回は同社のManaging Partnerで、​公認会計士・税理士の須﨑要暁氏に、multibook導入に至った経緯や導入時の工夫、multibookの率直なご感想などを伺いました。

導入前の課題

  • 前任の会計事務所が使用していたシステムは英語対応のみ、海外パッケージのため通貨は日本円から海外本社の基軸通貨に換算が必要、日本の消費税対応には別途設定が必要でミスが起きやすく、手間がかかっていた。
  • 前任の会計事務所との契約が切れるまで1カ月の猶予しかなく、2〜3週間程で新システムに切り替える必要があった。

multibookを選んだ理由

  • 多言語・多通貨対応しており、日本のビジネス事情 も汲んだ会計システムで利便性の良さを感じた。
  • コストパフォーマンスが良かった。
  • SAPのユーザーインターフェースに似ており、感覚的に使いやすく、海外本社のメンバーの閲覧にも支障がないと思われた。

導入後の効果

  • Slackでの細かなやりとりを通してマルチブックのサポートを受けながら自社で導入を行い、約2週間でスムーズにシステム導入を完了できた。
  • 一般的な日本の会計システムに仕訳を起票する感覚での経理サポート業務が可能に。
  • イタリア本国へのレポーティングも柔軟性高く行え、業務負荷の軽減に繋がっている。

外資企業の経理をサポートするため
多言語対応の会計システムを探していた

―― 貴社の事業内容や強みについて教えてください。

Itseki(イッセキ)は、公認会計士・税理士によるプロフェッショナル・ファームです。

国際サービスを強みとしており、外資企業の日本での経理・税務サポートや、日本企業の海外子会社の経理・税務サポート等を行っています。また、日本の法人や個人が海外で不動産投資等を行った場合に必要な海外での申告サポートや、クロスボーダーのM&A支援等もよく手がけております。

日本語と英語双方でのコミュニケーションをストレスなく行えること、そして数多くの外資系企業を担当してきた経験から、国際サービスで発生しやすい課題をあらかじめ予測しながら対応できる点をご評価いただいています。

―― multibookを導入するに至った経緯を教えていただけますか。

イタリアに本社を構える製薬会社の日本法人の経理サポートを行うことになったのがきっかけです。

その製薬会社は設立間もない会社で、当初は、私たちとは異なるグローバルBPOファームに経理を任せていました。

前任の会社が使用していたのは海外のクラウド会計システムでした。そのため、英語でしかアクセスできず、消費税をはじめ日本ならではの経理要件に対応しきれていなかったんです。また、通貨換算なども必要になり日本のメンバーにとっては、とても使いにくいシステムだったんですね。

そこで当社が経理支援と税務顧問サービスを提供することになったタイミングで、会計システムを変更したいという依頼がありました。そのような経緯から、当社のほうで多言語・多通貨対応が可能な会計システムを探し、multibookを知ったというわけです。

―― multibook導入の決め手は何でしたか?

まず当然ながら、多言語対応していることが重要でした。英語に対応している日本の会計システムをいくつか検討しましたが、あくまでも日本語の会計システムのメニューバー等が英訳されている程度で、クライアントのニーズを完全に満たすものではありませんでした。

一方で、multibookは、どの言語でも同じように使用でき、グローバル企業では当たり前に発生する為替換算機能等も標準装備されていたため、導入を決めました。コストパフォーマンスの良さもプラスの判断材料になりましたね。

これは余談ですが、最初にシステムのデモを見たときに、SAPのユーザーインターフェースに似ているなと感じたんです。SAPは外資企業が導入していることが多く、私たちも使い慣れています。イタリア本国のメンバーが閲覧する際にも操作しやすいのではないかと感じました。

「セルフインプリメント」方式を選び、
わずか2週間で、システム導入を完了

―― 貴社は今回、マルチブックの導入支援サービスを利用せず、セルフインプリメントで導入を完了されました。ご自身でシステム導入を行われた率直な感想を教えてください。

今回は、こちらの都合で短期間に導入を完了させなければいけませんでした。前任の会計事務所との契約が切れるまで1カ月の猶予しかなく、契約が終了すると使用していた会計システムにもアクセスできなくなる状況だったんです。

7月にmultibookの導入を決め、9月の頭にはシステムを稼働させなければならなかった。8月にはイタリア本社がバケーションに入るため、実質2週間程で導入する必要がありました。

ただ実際にセルフインプリメントをやってみて、そう難しくなかったというのが率直な感想です。
ある程度、会計システムを使い慣れている人であれば、どなたでもできると思います。

multibookの導入マニュアルを共有いただきましたが、実は、ほとんどマニュアルは見ていません。multibook特有の処理やルール等についてはSlackで質問し、不明点を解消していきました。メールではなくSlackでのコミュニケーションだったのでレスも早く、その点も良かったです。

今回は、本業と並行しながらの作業で導入完了まで2週間かかりましたが、次にまた別のクライアントで導入する機会があれば、手順も頭に入っていますから1週間程度でできるのではないでしょうか。この導入だけに時間を費やせるのであれば2日程で完了できるかもしれません。

―― どのようなところにセルフインプリメントのメリットを感じましたか。

やはり導入スピードの早さですね。

今回のように会計システムを切り替える際には、切り替えまでのタイムラグを出来るだけ短くしたいですし、短期導入できるメリットは大きいです。

もしも導入のハードルが高く、自分で対応した際に間に合うかどうかがわからないようなら心配でしょうが、multibookは導入のためのマニュアルも整備されていますし、疑問や質問にもスピーディに回答いただけるサポート体制が整っていますから、その心配はありませんでした。

実際にスムーズに新システムを立ち上げられ、9月からクライアントの記帳代行をスタートさせられています。当社の場合は、セルフインプリメントで良かったと思っています。

必要な処理がワンクリックで、
カスタマイズの自由度の高さも魅力

―― 導入後、どんなところにmultibookの良さを感じていますか。

導入前から、勘定科目を自分で設定でき、いくらでも増やせる点が良いと思っていましたが、今まさにその利便性を感じているところです。

当社ではmultibookを初めて使うスタッフでも簡単に業務ができるように、仕訳一括アップロード用のファイルを自動作成するエクセルをつくっているのですが、そうすると、普通の日本の会計システムに仕訳を起票する感覚で処理できるようになります。

レポーティングフォーマットも複数設定できるため、イタリア本国へのレポーティングも負担なく、スムーズにできています。この柔軟性の高さは、SAPと同じレベルですね。

イタリア本国へのレポーティングフォーマットに項目を追加する必要が出てきた場合にも、新たに財務諸表コントロールの機能でレポートの形を設定すれば、ワンクリックでレポート作成できます。

―― システムの使い勝手は、いかがですか?

データの読み込みが、とてもはやいです。画面遷移した際のロード時間が短く、ストレスがありません

無駄な機能がない点も気に入っています。もしかしたら私が把握していないだけかもしれませんが、multibookは使っていない機能がほとんどなく、それが操作のしやすさにも繋がっている気がします。

また、システムの細かな点でいうと「CSVファイルを自由な形式で出力でき、自分が使用しやすい形で仕訳帳を出力できること」や「仕訳を誤登録してしまった際に、反対仕訳がワンクリックでできること」「外貨取引において期末換算や実現仕訳が標準装備され、ワンクリックで仕訳が起票できること」などがありがたく、使いやすいです。

―― マルチブックの担当者とのコミュニケーションには、何かご要望はありますか? 

とても良くしてもらっていると思います。対応が丁寧、かつスピーディですよね。

「1カ月で導入したいんです」と最初にお話した際にも、こちらの事情に寄り添っていただき、スケジュールを含めてどのように進めていくのがベストか、親身になって相談に乗っていただきました。コミュニケーションに安心感があります。

―― 本日は貴重なお話をありがとうございます。最後に、今後の展望についてお聞かせください。

multibookを利用しているクライアントは、今後、事業を拡大させていく計画ですから、在庫管理や販売管理などmultibookのシステムとの相性が良ければ、検討させていただきたいと思っています。

また、multibookの良さを十分に体感できましたので、今回のようなニーズが他社でもあれば、積極的に導入を進めていきたいです。

個人的には、海外に本社を構える日本法人で、将来的にビジネスが拡大すればSAPを導入したいけれども、まだ日本拠点はそのフェーズにないという場合に、第一ステップとしてmultibookを導入するという活用の仕方も良いのではないかと感じています。

(取材・文/猪俣 奈央子)
(フォトグラファー/矢野 拓実)

お客様概要

  • 会社名

    税理士法人Itseki

  • 事業内容

    会計・税務コンサルティング事業、国際事業、M&A事業、フォレンジック事業

  • URL https://www.itseki.com/

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