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新リース会計基準 完全ガイド|2027年強制適用前に経理担当者がやるべき対応ロードマップ

新リース

2026/05/12

新リース会計基準 完全ガイド|2027年強制適用前に経理担当者がやるべき対応ロードマップ

<この記事のポイント>

– 新リース会計基準は 2027年4月以降に開始する事業年度から強制適用
– 最大の変更点は「オペレーティングリースも貸借対照表に計上する」こと
– 3月決算の会社であれば準備期限まであと1年を切り、今すぐ動く必要がある
– 対応の遅れは決算スケジュールの破綻・監査対応の遅延に直結する

目次

なぜ今、“逆算”で準備を始めるべきなのか

2027年4月以降に開始する事業年度から強制適用となる新リース会計基準。「あと約1年ある」と思うかもしれませんが、実務上の準備は想像以上に時間がかかります。

まず、リース契約の棚卸だけでも数ヶ月を要するケースが少なくありません。本社だけでなく国内外の子会社・拠点の契約情報を収集し、それぞれに新基準が適用されるか否かを一件ずつ判定する必要があります。加えて、会計方針の決定、システム対応、連結グループへの展開、そして監査法人との事前確認まで含めると、2026年の後半には大半の作業を終えていることが理想的なペースです。

スケジュールを逆算すると、着手が遅れるほど選択肢が狭まります。今から動き出してもギリギリのスケジュールであることを、まず認識していただく必要があります。

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新リース会計基準とは?まず基本を押さえる

新リース会計基準は、日本のリース会計を国際標準(IFRS 16)に近づけるために企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した新基準です。

現行基準では、リース契約をファイナンスリースとオペレーティングリースに分けて会計処理するのが基本でした。しかし新基準では、借手はほぼすべてのリースを「使用権資産」と「リース負債」として貸借対照表に計上する必要があります。

これは、これまでオフバランス処理されていた多くのリース(オフィスの賃借契約・設備のレンタル等)が、一転してB/Sに載ってくるということを意味します。

対象となる企業

新リース会計基準の主な対象は以下の企業です。
– 上場企業およびその連結子会社・関連会社
– 会社法の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)
– 会計監査人設置会社

親会社が上場している場合は、海外子会社を含む連結グループ全体で統一処理が求められます。海外拠点のリース情報も整合性が必要です。

現行基準と新基準の主な違い

比較項目現行基準新リース会計基準
分類ファイナンスリース/オペレーティングリースに分類原則として分類なし(一部免除あり)
借手のB/S計上ファイナンスリースのみ計上原則すべて使用権資産・リース負債を計上
短期リース特例なし1年以内のリースは計上免除(簡便法)
少額リース特例なし少額資産のリースは計上免除(簡便法)
開示情報オペレーティングリースは注記開示のみ(オフバランス)リース負債をB/Sに計上(オンバランス)+詳細注記が必要

実務上の最大インパクト:

これまで「費用」としてP/L に流していたオペレーティングリースが、B/Sの資産・負債として認識されます。財務指標(負債比率、ROA等)が変化するため、財務部・経理部だけでなく、経営企画・IR担当とも連携が必要です。

この変更は単なる会計処理の変更ではなく、業務フロー・システム・グループ間の情報連携を含む「業務改革」に近い取り組みです。経営層を含む全社的な認識共有が欠かせません。

適用スケジュール|いつから義務化?

【強制適用スケジュール(3月決算会社の例)】

2025年4月〜  早期適用可能

2026年4月〜  ★ 現在ここ ★

              【準備・棚卸フェーズ】

                全リース契約の洗い出し・影響額試算を完了する時期

2027年4月〜  強制適用開始

                3月決算会社の場合、この事業年度から必須

2028年3月    3月決算会社の場合、初回の新基準適用決算を締める

事業年度別の適用開始時期:

決算期事業年度の期間強制適用開始事業年度(期首)
3月決算4月1日〜3月31日2027年4月1日(2027年4月〜2028年3月期)
4月決算5月1日〜4月30日2027年5月1日(2027年5月〜2028年4月期)
12月決算1月1日〜12月31日2028年1月1日(2028年1月〜12月期)

\いつ・何をやるか、対応スケジュールを1冊に整理/

移行ロードマップ|フェーズ別の対応計画

新リース会計基準への移行は、大きく4つのフェーズに分けて進めるのが実務上のベストプラクティスです。以下は3月決算企業を想定したスケジュール例です。

フェーズ1:現状把握と影響度調査(〜2026年6月)

対応の第一歩は、現状を正確に把握し、会社としての方針を固めることです。どの契約がリース対象となるか、どの部署がどのような契約を持っているかを明確にしなければ、その後のシステム選定も台帳設計も進みません。この段階での丁寧な棚卸しが、プロジェクト全体の成否を左右します。

主な作業内容:

– リース契約の全件棚卸(本社・国内外の全拠点)
– 契約ごとのリース判定(資産計上か費用処理か)
– 影響範囲の把握(契約数・金額規模・拠点別)
– グループとしての会計方針の検討・文書化
– プロジェクト体制の構築

実務上のポイント:

棚卸対象は、不動産賃貸借(本社・支店・倉庫・海外拠点)、社用車・リース車両、OA機器・複合機、生産設備・レンタル資材など多岐にわたります。各部門に分散している契約書を経理が一元管理できる仕組みを作ることが先決です。

また、グループ全体で判断基準が統一されていないと、後工程のシステム設計やデータ整備で大きな手戻りが発生します。早期に方向性を固めることが重要です。

なお、リース判定の工数削減にはシステムの活用が有効です。multibookでは2026年にAI OCR(契約書の自動読み取り)とAIリース判定(リース識別・オンバランス判定の自動化)を相次いでリリースしました。契約書をアップロードするだけでAIが一次判定を行うため、件数の多い企業ほど棚卸・判定フェーズの工数を大幅に削減できます。ただし、最終的な会計処理の判断は専門家との協議を推奨します。

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フェーズ2:システム選定・導入と業務プロセス構築(2026年4月〜12月:並行して開始)

仕組みづくりの中心フェーズです。本社だけでなく国内外の子会社も含めたシステム選定・導入と、新業務プロセスの構築を行います。このフェーズが最も時間を要するため、早期着手が鍵になります。

主な作業内容:

– 自社の契約規模・拠点数・海外対応の必要性をふまえたシステム選定
– 新規契約・条件変更・月次仕訳・連結調整の業務フロー定義
– 担当部門(経理・総務・情報システム・海外業務統括)との連携体制構築

システム選定の確認ポイント:

– 外貨建て管理・連結調整仕訳の自動出力に対応しているか
– 変動リース料・フリーレント・中途解約など複雑な契約形態に対応しているか
– 既存の会計システムとの仕訳連携が可能か

契約件数が増え、条件変更や再測定が発生する段階になると、Excelによる管理は精度・スピード両面で限界を迎えます。拠点・子会社が複数になると担当者間のデータ整合性の担保も難しくなり、内部統制上のリスクにつながります。2026年中には専用システムへの移行方針を確定させることが望ましいです。

フェーズ3:トライアル決算と監査準備(2026年9月〜2027年3月)

本番運用前に「試運転」を行うフェーズです。模擬決算を通じて仕訳・注記・開示の不具合を洗い出し、監査法人との確認を進めます。このフェーズでの検証が初年度の混乱を防ぐ最大のポイントになります。

主な作業内容:

– 新基準に基づく模擬決算の実施
– 注記ドラフトの作成・監査法人へのレビュー依頼
– 連結パッケージへのリース情報収集フローの改訂
– 開始残高の確定と監査対応準備

監査法人との協議は早め早めが原則です。開始残高の確認で手戻りが生じると、決算スケジュール全体が遅延します。2027年1〜2月には概ねの合意を得ておくことを目標に動きましょう。

フェーズ4:本番運用と定着化(2027年4月以降)

強制適用が開始されるフェーズです。初年度は想定外のケースが発生しやすいため、運用を定期的に見直しながら体制を固めていくことが大切です。

主な作業内容:

– 新基準に基づく定常業務の運用(月次仕訳・返済スケジュール管理)
– 担当者間の知識共有・社内研修の継続
– 各リース契約の台帳登録・会計処理の妥当性モニタリング
– 初年度決算・監査対応の振り返りと改善

初年度は「振り返りと改善」を前提にした体制づくりが大切です。システムベンダーや外部アドバイザーのサポートを活用しながら、確実に定着を図りましょう。

よくある落とし穴と対策

落とし穴1:リース契約の棚卸漏れ

よくあるケース:各部門が個別に締結している賃貸借・リース契約が経理に共有されていない。特に海外拠点や営業所の小口契約に多い。また、サービス契約の中に「使用権資産」の特定が必要な「埋込リース」が含まれているケースも見落とされがちです。

対策:全社通達で契約書収集を義務化し、購買・総務部門を横断したタスクフォースを設置する。各部門の担当者が漏れなくリストアップできるよう、棚卸シートと判定フローを標準化して配布する。

落とし穴2:「オペレーティングリースだから影響ない」という思い込み

よくあるケース:現行基準でオペレーティングリース扱いの契約を「影響なし」と判断して棚卸対象から外す。この思い込みにより、後から大量の修正が発生するケースが頻発しています。

対策:新基準ではオペレーティング・ファイナンスの区別がなくなる。原則として全リース契約がB/S計上の対象と認識し、短期リース・少額リースの免除規定に該当するかを一件ずつ確認する。

落とし穴3:子会社への展開を後回しにする

よくあるケース:本社の準備に注力するあまり、国内子会社・海外子会社への方針展開が遅れる。連結決算で正確な財務情報を作成するには、グループ全体での情報統一が不可欠です。子会社任せにすると、本社の決算スケジュールに影響します。

対策:フェーズ1の段階からグループ会社を含めたプロジェクト体制を設計する。本社と子会社で会計方針・台帳フォーマット・システムを共通化し、情報連携のタイミングを明確に定める。

落とし穴4:移行準備を「決算の直前」に始める

よくあるケース:2027年3月頃に慌てて棚卸を始め、システム対応・監査法人との協議が間に合わない。

対策:本記事のロードマップ通り、2026年中に棚卸・試算・システム確認を完了させる。2027年に入ってからは開示準備と監査対応に集中できる体制を整える。

\”決算直前に慌てる”を避ける。落とし穴を防ぐ対応手順を1冊に/

海外拠点がある会社は要注意

日本本社だけでなく、海外子会社のリース契約も連結財務諸表への影響があります。特にアジア・東南アジアに複数拠点を持つ日系企業では、拠点ごとに対応状況が異なるケースが多く見られます。

海外拠点特有の論点:
– 連結パッケージへの反映タイミング(月次・四半期締めへの影響)
– ローカル基準(現地会計基準)と日本基準・IFRSの差異への対応

これらを本社が一元的に把握・管理する体制を構築することが急務です。海外拠点のリース対応は現地任せにせず、本社主導でフォーマット・判断基準・報告サイクルを統一することが重要です。

また、リース資産管理システムの選定においては、単体の会計処理だけでなく、連結決算への対応を考慮することが不可欠です。 海外子会社が保有するリース資産を連結ベースで集計・開示するためには、各拠点のリース情報を本社が一元管理し、連結修正仕訳に対応できるシステム基盤が求められます。multibookは、海外子会社のリース会計処理から連結決算に必要なデータ連携まで一貫して対応しています。

multibookアウトソーシングの活用:海外拠点のリース会計対応(現地基準との調整・連結修正仕訳・ERPへの入力)もmultibookアウトソーシングサービスで代行が可能です。詳しくはお問い合わせください。

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今すぐ始めるべき3つのアクション

契約情報を整理する

   全社・全拠点の契約書・請求書・台帳を集約し、抜け漏れのないリストを作成する。経理だけでなく総務・購買・各事業部門に協力を依頼し、網羅性を高める。

システム対応の方針を決める

リース件数が少なくても、Excelによる管理は避けるべき。リース会計では契約ごとに使用権資産・リース負債の計算、利息配分、減価償却、契約変更・更新時の再測定など、管理すべき情報と処理が複雑に絡み合う。件数が少ないほど担当者に処理が集中し、属人化・人的ミスのリスクが高まるため、専用のリース資産管理システムの導入を前提として検討を進めることが重要。リース資産管理システムの選定は2026年中に完了させることが目安。既存の会計システムとの連携可否も合わせて確認する。

社内体制を整える

経理・情報システム・法務・総務・事業部門を横断したプロジェクトチームを組成する。経営層へのリスク報告も早期に実施し、意思決定スピードを確保する。

新リース会計基準対応をサポートするmultibookのソリューション

新リース会計基準への対応で多くの企業が課題とするのは、複雑な契約パターンへの対応、子会社・グループ会社を含めた全社的な対応範囲の広さ、海外拠点が絡む場合の現地基準との調整、そしてこれまでになかった業務が新たに発生することによる人手の確保です。

multibookのリース資産管理システムは、こうした課題をワンストップで解決するクラウドソリューションです。

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主な特長:

複雑な契約パターンへの対応力

あらゆる契約形態に対応:短期・少額リース、フリーレント、前払・後払、条件変更、中途解約など、実務で発生するあらゆるケースを網羅

グループ・子会社・海外拠点をまとめて管理

グループ一元管理:本社・子会社・海外拠点の契約情報をリアルタイムで共有。ローカル基準と日本基準・IFRSなど異なる会計処理にも対応

新規業務の工数を最小化する自動化機能

AI OCR × AIリース判定で判定から登録まで自動化:契約書をアップロードするだけで、AIが契約内容を解析してリース識別・オンバランス判定を自動実行。2026年にリリースした新機能で、棚卸・判定フェーズの工数を大幅に削減できる

会計処理を自動化

使用権資産・リース負債の計算、月次償却・返済額の算出、連結修正仕訳の自動出力まで対応

「何から始めるか」の段階から支援するアドバイザリー

multibookでは、リース期間・割引率・リース判定・グループ会社への方針展開など実務で迷いやすい論点に専門家が対応するアドバイザリーサービスも提供。「どこから着手すべきか」という段階からでも、専門家とともに整理できるため、社内検討を効率的かつ確実に進められる。

スムーズな導入と既存環境への対応

短期導入が可能。クラウドベースのため、環境構築工数を最小化。最短2週間での導入実績あり

既存システムとの連携

既存の会計システムと仕訳連携でき、単独モジュールとしての導入も可能

また、multibookでは、リース期間・割引率・リース判定・グループ会社への方針展開など実務で迷いやすい論点に専門家が対応するアドバイザリーサービスも提供しています。「どこから着手すべきか」という段階からでも、専門家とともに整理できるため、社内検討を効率的かつ確実に進められます。

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今すぐ使える!実務チェックリスト

フェーズ1:現状把握(2026年中)

– [  ] 全社の契約を洗い出し、リースに該当するものを識別した(リースの識別)
– [  ] リース契約の全件一覧(本社・全拠点)を作成した
– [  ] 各契約のリース期間・リース料を確認した
– [  ] 解約オプション・延長オプションを把握した
– [  ] 海外拠点のリース契約も把握した
– [  ] グループとしての会計方針を文書化した
– [  ] 割引率の設定方針を財務部門・監査法人と合意した

フェーズ2:影響試算(2026年末まで)

– [  ] 使用権資産・リース負債の開始残高を試算した
– [  ] 財務指標(負債比率・ROA等)への影響を確認した
– [  ] 会計システム(ERP)の新基準対応状況を確認した
– [  ] 経営陣・IR部門への影響報告を実施した
– [  ] リース資産管理システムの選定・導入方針を決定した

フェーズ3:開示・監査準備(2027年1〜3月)

– [  ] 開始残高を確定し監査法人の事前レビューを受けた
– [  ] 新基準適用の注記ドラフトを作成した
– [  ] 連結パッケージへの組み込みフローを確認した
– [  ] 移行仕訳を会計システムに入力した

まとめ:2027年度本格適用へ、今こそ逆算準備を

新リース会計基準の強制適用まで、3月決算の会社(2027年4月1日期首)は1年を切りました。

この変更は単なる会計処理の変更にとどまらず、グループ全体のデータ整備・システム構築・業務プロセスの統一を含む大規模なプロジェクトです。準備が遅れるほど選択肢は狭まり、直前での対応は決算スケジュール全体に影響します。

対応の第一歩は、リース契約の全件棚卸という地味で時間のかかる作業です。全社横断のプロジェクトチームを今すぐ立ち上げ、2026年中に棚卸・試算・システム確認を終わらせることが最優先です。

multibookは、リース資産管理システムと経理アウトソーシングサービスを組み合わせ、複雑な契約管理から海外拠点の連結対応まで、新リース会計基準への対応をワンストップでサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

\新リース会計基準の対応を抜け漏れなく、スムーズに進めるための1冊!/

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この記事を書いた人

マルチブック編集部