三国間貿易で複雑化する海外拠点の販売管理をどう改善する?業務変化に強い柔軟な仕組みで、受発注ミス削減と在庫精度向上を実現

[写真] NICHIBAN EUROPE GmbH セールスとロジスティクスメンバー
1918年の創業以来、粘着テープのパイオニアとして日本の産業と生活を支えてきたニチバン株式会社。「セロテープ®」や「ケアリーヴ™」といった製品は、今や日本人の生活に欠かせないものとなっています。そんなニチバン株式会社が欧州市場の拠点として2020年に設立したのが、ドイツのデュッセルドルフにあるNICHIBAN EUROPE GmbH.です。
欧州全域からアフリカ、中東までをカバーする同社は、「三国間貿易」の販売形態をとっており、運営を効率的に行うために、ITインフラとしてグローバルクラウドERP『multibook』を導入。今回は、NICHIBAN EUROPE GmbH.の橘様、吉村様、山本様に、multibookの活用効果や今後の展望などを伺いました。
導入前の課題
- 日本・タイ・欧州を結ぶ「三国間貿易」が売上の95%を占め、複雑な物とお金の流れを管理するシステムが必要だった。
- 1オーダーあたりの品目数が多く、SO(受注伝票)とPO(発注伝票)のデータ連携で人的ミスを防ぎたかった。
- システムにあわせてビジネスモデルを変える必要がなく、自社のどんな販売形態にも適応するシステムが必要だった。
活用方法と導入後の効果
- SO(受注伝票)からPO(発注伝票)へのデータコピー機能により、1オーダーあたりの品目数が多い取引でも、人的ミスを排除した正確な入力を実現。
- 実在庫とデータ上の在庫の差異が発生しなくなり、原因究明にかかる労力を削減。
- 柔軟な操作性により、生産中止や急な注文変更といったイレギュラーなデータ修正に対応可能となった。
multibookの魅力
- 販売会社運営に必要な機能が過不足なく揃っている。
- 取引先コードの自動検索機能や充実したマニュアルに加え、日本語・英語・ドイツ語など多言語に対応。
- 時差を感じさせない迅速なサポートに加え、EUにおける電子インボイス制度導入などの法改正にも対応。
欧州・中東・アフリカ市場での販路拡大を目指してドイツに拠点を設立
ニチバン株式会社様の事業概要と、NICHIBAN EUROPE GmbH.の設立背景について教えてください。
橘様:ニチバンは創業100年を超える粘着テープメーカーです。従業員はグループ全体で1,000名を超え、製品数は1万種類以上、売上高はグループ全体で約500億円規模となります。製品はドラッグストア等で展開する「ヘルスケア」、文房具の「ステーショナリー」、工場等で使われる「産業向け製品」、そして「医療従事者向け製品」の大きく4つの領域で製造販売をしています。
ニチバンは海外約50カ国に製品を輸出しており、NICHIBAN EUROPE GmbH.の他に、タイのバンコクにNICHIBAN(THAILAND)CO.,LTD.、上海に駐在員事務所を構えています。その中でも私たちの役割は、欧州・中東・アフリカ市場への販路拡大および新規顧客の開拓です。以前から欧州では顧客を抱えており、NICHIBAN EUROPE GmbH.の設立前はニチバンの海外営業部が担当していましたが、より顧客と近い距離で現場を知り、販売を拡大していくために、ドイツに拠点が設立されました。
売上の95%を占める三国間貿易。その複雑な商流をmultibookで標準化
貴社の事業において、multibookを導入する必要性はどの点にあるのでしょうか。
橘様:multibookを導入した最大の理由は、私たちの売上の約95%を占める「三国間貿易」というビジネスモデルにありました。三国間貿易では、タイの自社工場や日本の本社から製品を出荷し、それを欧州の販売代理店様へ直接お届けします。この際、資金と商品の流れが複雑に交錯するため、multibookのようなシステムが必要でした。
吉村様:私たちは毎日のように受発注の処理をしています。お客様から受注した際はSO(受注伝票、セールスオーダー)のデータを入力し、次は日本やタイに発注するためのPO(発注伝票、パーチェスオーダー)を入力します。この際、システムがなければ手入力で伝票のデータをコピーする必要があり、人的ミスによるデータの差異が発生する場合があります。
特に、私たちは販売代理店から受注をするため、1オーダーあたりの品目数が多い傾向にあります。SOとPOの不一致を起こしてはいけないため、片方に削除項目が発生したら、もう片方も膨大な品目数の中から同じ内容を削除しなくてはいけません。人的ミスを防ぐためにも、SOとPOのデータが自動で連携するmultibookの導入は必要なことでした。
取引先コードの自動検索やデータのコピー機能によって業務が効率化されている
三国間貿易では複雑な処理が考えられます。その中で、multibookのどの機能をよく活用されているのでしょうか。
吉村様:日々の受発注の中で、取引先コードの登録をよく活用しています。multibookでは取引先コードの登録が非常に簡単です。さらに、顧客の頭文字を入力するだけでコードを自動検索して表示してくれるので、入力を効率化できます。欧州の倉庫から買ってくださるお客様は小口注文が多いため、最近では小口の取引先コードを1つにし、インボイス上で顧客データを入力するといった工夫もしていますね。
三国間貿易となると、通貨の設定も重要でしょうか。
吉村様:私たちの受発注では、ユーロとUSドルの2つの通貨を使用します。たとえ同じお客様であっても、日本からの出荷ではユーロ、タイからの出荷ではUSドルを使うため、入力の度に気をつけなくてはいけません。このように同じお客様でも複数通貨を利用するため、お客様ごとに通貨の固定化ができないのですが、multibookのフレキシブルな操作性に助けられています。
自社のビジネスモデルを崩さない柔軟性。新たなビジネスモデルもスムーズに立ち上げ
multibookの導入で、どのような効果を得られましたでしょうか。
山本様:私たちは拠点の設立時からmultibookを使っています。multibookがなかったら、今のビジネスモデルは成り立っていません。販売会社として仕入れた商品をお客様に販売するというシンプルな仕組みですが、私たちがやりたいことを実現できているのは、multibookのおかげです。
吉村様:実務においては、SOとPOの伝票データをコピーできる機能により、業務の進行が止まることがありません。NICHIBAN EUROPE GmbH.では、月間で約20件の受発注が行われます。すると、SO、PO、インボイスの伝票が各20枚ずつ発生し、それぞれに日々細かい変更も生じます。その環境下においても、multibookでデータをコピーできるおかげで、実在庫とシステム上の帳簿在庫がずれることはありません。もし数字が合わないとなると、その原因をつきとめるのに多大な労力がかかるので、コピーできる機能にはとても助けられています。

[画像]受発注伝票の繋がりが一目でわかる「ロジスティクス伝票フロー図」
ロジスティクス業務におけるmultibook導入のメリットは何だと感じていますでしょうか。
吉村様:システムの操作に柔軟性がある点です。生産中止や受発注条件の変更など、運用上どうしてもイレギュラーな対応が必要になる場面があり、SO・POの情報を状況に応じて一部だけ調整したいケースも発生します。multibookでは、こうした例外的な業務にも柔軟に対応でき、必要な項目のみを後から変更することもできるため、現場の運用に合わせたスムーズな対応が可能です。
山本様:事業形態をmultibookに合わせる必要がなく、幅広いビジネスモデルに対応できるのも魅力です。私たちは今年から自分たちの倉庫で在庫を持ち、そこから販売していく形態を取り入れています。multibookには柔軟性があるため、システムと販売形態の相性を考えなくてもよい点は、とても助かっています。
multibookの魅力はどこにあると感じていますでしょうか。
吉村様:操作やメンテナンスが簡単な点です。マニュアルを見れば操作方法は理解できますし、実際に講習もしていただけました。私の不在時には、普段multibookを使わない営業担当が操作できているので、担当者の不在を懸念する必要がなく、業務の属人化を防げています。また、多言語に対応しているので、現地スタッフが英語やドイツ語で操作しているときもありますね。
時差に関係ない手厚いサポートや、法改正への対応で安心して使える
講習のお話がありましたが、マルチブックのサポート体制はどのように感じていますでしょうか。
吉村様:サポート体制については、とても満足しています。イレギュラー案件が発生した際、どのように処理すればよいかをマルチブックの担当の方に質問したところ、時差があるにもかかわらず当日中に返答してくださいました。また、インボイスのフォーマットを急ぎで変える必要があった際に無理なお願いをしたところ、すぐに対応してくださったこともありました。
機能面の充実度はいかがでしょうか。
吉村様:私たちが事業を展開する上で必要な機能は全て揃っていますし、法改正にも適応してくれるのが嬉しいですね。EUでは2026年12月までに電子インボイスを導入しなくてはいけませんが、multibookは2026年10月に対応する機能がリリースされる予定と聞き、安心しました。
本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、今後のmultibookを活用した展望をお聞かせください。
山本様:今ある機能を最大限に活用して、事業を拡大していきたいです。これまでの私たちのビジネスモデルは、お客様から注文をいただいてから発注を取り次ぎ、納品する形態が中心でした。しかし、この方法では注文を受けてからお客様の手元に届くまでに、約6カ月という長いリードタイムがかかってしまいます。
これからは自分たちで在庫を持つ運用に変えることで、注文を受けたその日に出荷できる体制を整えたいと考えています。リードタイムの劇的な短縮は、間違いなくビジネスを拡大させる鍵になるため、この新たなオペレーションを円滑に展開していくためにも、multibookをしっかり活用していきたいと考えています。
橘様:ニチバンヨーロッパは2020年10月に設立されました。現在は、10年目を迎える2030年に向けてどのような戦略を立てるかを議論しているところです。大きな目標として掲げているのは、2030年までに売上を倍以上に拡大することです。
今後、この目標に向けて取引件数も物量も増大することが予想されるので、multibookには、私たちのビジネスが拡大していくプロセスにおいて、しっかりと支え続けてくれるパートナーとしての役割を期待しています。

[写真] NICHIBAN EUROPE GmbH セールスとロジスティクスメンバー
(取材・文/田中 凌平)
































































































