multibook導入で「経理工数を3分の1」に削減。わずか3ヶ月、バックオフィス2名体制で基幹システムを刷新し、会計の内製化を実現

タイをはじめ海外取引を多く抱える産業機械の専門商社、日本ECOTS株式会社。同社のバックオフィスでは、販売管理と会計処理をそれぞれ別のシステムで運用しており、二重入力による工数の増加や数値の分散管理による非効率が長年の課題となっていました。2023年のインボイス制度施行を見据え、同年にmultibookを導入。バックオフィス2名体制、わずか3ヶ月という短期間での導入を経て、会計業務の内製化と経理業務に必要な工数(人員ベース)を従来比約3分の1まで削減し、業務効率化を実現しました。今回は同社経理財務部の塩崎様とロジスティクスご担当者の大須賀様に、multibook導入の経緯から活用効果、今後の展望まで詳しくお話を伺いました。
導入前の課題
- 販売管理と会計処理を別々のスタンドアローンのソフトウェアで運用しており、システム間の連携が取れていなかった。
- 売上・仕入・入出金の情報をそれぞれのシステムに個別入力する必要があり、二重入力による工数増加や入力ミスによる誤計上のリスクが常にある状態だった。
- 数値が分散管理されていたため、正確な状況を把握するのに時間がかかり、確認・修正作業に多くの手間を費やしていた。
- 2023年10月のインボイス制度施行に向け、対応要件を満たすシステムへの刷新が必要だった。
multibookを選んだ理由
- 多通貨・外貨換算機能が標準機能として備わっており、海外取引が多い同社の必須要件を追加コストなく満たせた。
- タイでの現地認証を取得済みであり、将来的な海外拠点への展開を見据えた安心感があった。
- 導入・運用コストが他社と比べて優位であり、中長期的なコストパフォーマンスに優れていた。
- 大手企業向けERPに通じる設計思想がありながら、中堅・中小企業にとって扱いやすいシンプルな設計だった。
導入後の効果
- 2名体制、約3ヶ月というスピードでの導入を実現した。
- 導入前は外注していた会計業務を内製化し、導入前と比べて経理業務にかける工数(人員ベース)をおよそ3分の1に削減するなど、業務効率化を実現できた。
- 欲しいデータをすぐに集計・出力できるようになり、マネジメントへの報告資料作成がスムーズになった。
- 顧問税理士事務所とデータを相互共有できる体制が整い、危機対応面でも安心感が生まれた。
- 伝票フロー図により業務の流れが視覚化され、月次集計がしやすくなったほか、入力ミスの早期発見が可能になった。
分断されたシステムが生んでいた、非連携と非効率の壁
まず、御社の事業内容について教えてください。
塩崎様:日本ECOTSはASEANを中心に拠点を展開する、産業機械の専門商社“ECOTSグループ”の日本法人です。電子機器関連装置を中心に産業分野・産業機器分野における販売およびメンテナンス事業を展開しています。主に半導体および電子部品の製造ライン装置を取り扱っており、日本国内のみならずアジア各国の製造現場を支えるビジネスを行っています。
事業上の強みについてもお聞かせいただけますか。
塩崎様:当社は創業当初から海外市場を含めた事業を展開しています。2002年にタイ法人を設立して以来、タイをはじめアジア各国との取引を積み重ね、現地対応に関する高い経験値とノウハウを蓄積してきました。海外取引では、商習慣や文化の違いを理解した上での調整力やトラブル時の迅速な対応が不可欠です。こうした実務対応力が、安定した取引の継続につながっていると考えています。
また、当社はカスタマーだけでなく、サプライヤーもお客様であるという考え方を大切にしています。カスタマーやサプライヤーと密接な信頼関係を築き、製品の特性や技術背景を深く理解した上で最適な形で市場につなぐことを重視しており、その結果、双方から安心して任せられるパートナーとして評価をいただいています。長期的かつ安定した関係性を築いている点も、当社の強みと考えています。
multibook導入前は、バックオフィスにどのような課題がありましたか?
塩崎様: 導入前は、販売管理と会計処理をそれぞれ別のスタンドアローンのソフトウェアで運用していました。売上・仕入・入出金といった情報をそれぞれのシステムに個別入力する必要があり、二重入力による工数の増加や、入力ミスによる誤計上のリスクが常にある状態でした。
数値が分散管理されていたため、正確な数値を把握するのに時間がかかることも課題でした。確認・修正作業に多くの手間を費やしていたのが実状です。少人数でバックオフィスを回している体制の中では、こうした煩雑さが担当者の業務負担に直結していました。
加えて、外部環境の変化も後押しとなりました。2023年10月からインボイス制度が施行されることを見据え、対応要件を満たすシステムへの刷新が必要になっていたのです。
大手企業向けERP利用経験者が着目した、小回りの効くERP
multibookをどのように知りましたか?
塩崎様: 既存システムの刷新を検討するにあたり、単なる個別システムの入れ替えではなく、バックオフィス全体を統合できるERPシステムを前提に候補を探していました。スタンドアローンでそれぞれのシステムで完結していたものを一元管理し、基幹システムとして機能させることで経営判断に役立てたいという狙いがありました。主にWeb検索で情報収集し、マルチブックを含む3社と連絡を取り、それぞれプレゼンテーションをいただいた上で比較検討しました。
比較検討の際、どのような軸で評価されましたか?
塩崎様:大きく三つの軸で比較しました。一点目は外貨換算・多通貨機能の有無です。当社は海外取引が多いため、これは必須の要件でした。二点目は、タイ拠点があることを踏まえた将来的な海外展開への対応力。三点目は導入・運用コストです。
multibookはこの三点すべてで優位性がありました。多通貨機能が標準機能として備わっている点は、オプション対応となっていた他社と大きく異なりました。海外展開については、multibookがタイで現地認証を取得済みであった点も、将来を見据えると安心感がありました。コスト面でも他社より比較優位があり、中長期的に見てmultibookが最適だと判断しました。
multibookに決めた背景として、大手企業向けERPとの比較もあったと伺いました。
塩崎様:私自身がこれまで大手企業向けERPを使っていた経験があり、機能面や業務フローのイメージが掴みやすいという側面があったんです。大手企業向けERPは機能面で非常に魅力的な一方、当社規模では導入・運用ともにハードルが高い。multibookは大手企業向けERPに近い業務体験の考え方を持ちながら、必要な機能を十分に備えた上で小回りが利き、導入コストも抑えられる。導入の旗振り役を担う立場として、非常に取り組みやすいシステムだと感じました。
また、大手企業向けERPはモジュールが細かく分かれている分、設定や運用にも専門知識が必要になりますが、multibookは中堅・中小企業にとって十分な機能を備えつつ小回りが利きます。そして海外展開にも対応している点は大きな強みです。多言語対応についても、大手企業向けERPが特定言語での運用が基本だったのに対し、multibookは多言語に対応しているため、グローバルにビジネスを展開している企業にとって使い勝手が良いと感じました。
わずか3ヶ月、2名体制でのスピード導入
導入前に不安だった点はありましたか?
塩崎様: 二点ありました。一点目は導入スケジュールです。multibookは導入稼働まで3ヶ月というスケジュールでしたが、私の大手企業向けERP導入経験では半年から1年、場合によってはさらに長くかかることもあったため、本当に3ヶ月で運用まで到達できるのか不安でした。
二点目は、運用開始後のサポートです。大手企業向けERPであれば社内にコンサルタントやスペシャリストがいてエラーや不具合に対処できますが、当社ではそのような専門人材を確保することは難しい。マルチブックにそこを補っていただけるのかどうか、という点が気がかりでした。
実際に導入してみていかがでしたか?
塩崎様:振り返ると、想像以上にスムーズでした。4月に開始して7月に運用開始と、スケジュール通りに進められたのは、良い意味で驚きでしたね。マルチブックのスタッフの方々が手際よく要点を示してくださったので、私たちはそれに沿ってデータの整理やクレンジングを進めることができました。毎週ミーティングを開いていただき、次に取り組むべきことや直面している課題を都度洗い出して解決策を提示いただいたことで、業務を止めることなく前に進められたと思います。
スムーズな導入のために、御社側で工夫されたことはありますか?
塩崎様:三点あります。一点目は事前のデータクレンジングです。これまで蓄積されていた不要なデータや科目コードを整理し、シンプルな最小限のデータで移行することを意識しました。二点目は担当者の役割分担の明確化です。プロジェクト内でそれぞれの担当を決め、各自が主体的に動ける体制を整えた上で、科目コードの標準化や定期的な内部ミーティングも行いました。三点目は、マルチブックとの定期ミーティングの活用です。小さな疑問や行き詰まりも気軽に相談できる雰囲気があったため、課題を細かく解消し続けることで、大きな問題に直面することなく順調に進めることができました。
導入前にご不安だった運用開始後のサポートについてはいかがでしたか?
塩崎様:この点も不安は杞憂に終わりました。導入期間中は毎週ミーティングがありましたが、運用開始後はヘルプデスクへの問い合わせが中心になります。メールでのやり取りになるため、レスポンスが遅いのではと懐疑的な部分もあったのですが、実際にはタイムラグなくすぐに返答がきて、運用直後はほぼ毎日レスポンスをいただきながら対処することができました。本当に心強かったです。

経理工数が3分の1に——基幹システムとしての真価を発揮
実際に導入した後、どのようにmultibookを活用されていますか?まず会計・経理の観点からお聞かせください。
塩崎様:会計面では、一般会計・管理会計・債権債務管理・予算管理の各機能を活用しています。外部システムモジュールとしては、表計算ソフトで伝票を一括入力できる汎用仮勘定取り込み機能と、顧問税理士事務所が使用している会計ソフトとデータ連携できる汎用会計伝票出力機能も使っています。
この汎用会計伝票出力機能によって、当社と顧問税理士事務所が同じデータを共有して確認し合える体制になっています。万が一こちらのデータに何かあっても税理士事務所にデータがあり、税理士事務所側に何かあっても当社で出力できる。導入前には想定していませんでしたが、危機対応の観点からも良かったと感じています。
定量的な成果としては、導入前は会計業務を外注していたのですが、multibook導入をきっかけに内製化に切り替えました。内製化後もさらに工数を削減でき、導入前と比べておよそ3分の1の工数(人員ベース)で経理業務を回せるようになっています。
導入前に「経営判断に活かせる基幹システムを」とおっしゃっていました。その点についてはどのような感想をお持ちですか?
塩崎様:以前はマネジメントへのレポート作成にとても時間がかかっていたのですが、multibookを導入してからは、欲しいデータをすぐに集計・出力できるようになり、管理報告書の作成がぐっとスムーズになりました。経営管理のしやすさという点で、大きな変化を実感しています。
ロジスティクス担当の大須賀様には、どのようにmultibookをご活用いただいていますか?
大須賀様: ロジスティクスとしては発注入力・入庫・出荷・売上・仕入れ・請求といった伝票機能をメインに使っています。月次の集計作業では、受注伝票照会・購買発注伝票照会・請求伝票照会・仕入先請求伝票照会の各データをmultibookから表計算ソフトにダウンロードし、社内の営業用データベースと照合して数字を確認しています。その他には請求書の発行も行っています。
使い心地や導入効果についてはいかがですか?
大須賀様 :伝票フロー図で業務の流れが視覚的に把握できるのが良いですよね。どこを操作すれば何ができるかが直感的にわかるユーザビリティで、新しいメンバーが集計作業を担当する際も比較的早く習得できると思います。操作のわかりやすさという点では、非常に使いやすいシステムだと感じています。
塩崎様:会計担当の立場からロジスティクスモジュールを参照できるのも利点の一つです。日々の取引の詳細はロジ担当に任せていますが、伝票フローを確認することで一連の取引の流れが把握でき、会計上で数値の違和感があった際にもピンポイントで原因を特定しやすいですから。勘定科目の設定ミスなども素早く発見できます。
大須賀様 :導入効果としては、月次の集計がしやすくなった点が一番大きいでしょうか。入力ミスがあっても早期に発見できるようになり、間違いが減りました。私はもともと営業担当で、経理やロジの経験がまったくない状態でこの業務を担うことになったのですが、multibookを担当するようになってから、会社全体の数字を意識するようになりました。前月比・前年比でどう動いているかを自然と気にするようになって、営業としても一歩成長できたような気がしています。

[画像:ロジスティクス伝票フロー図]
「ビジネスパートナー」として長く伴走してほしい存在に
お二人にとって、今multibookはどのような存在になっていますか?
塩崎様:ビジネスパートナーという感覚に近いですね。「こんなことはできるか」「このケースはどう対応すればよいか」といった相談にちゃんと答えていただけるので、システムを運用していく上でとても安心感があります。新しい商流や取引が生まれた時にも、処理の仕方を気軽に相談できる。今後も長く伴走していただけるパートナーとして、寄り添い続けていただければと思っています。
大須賀様 :ロジスティクスの立場からも、よきパートナーだと感じています。担当当初はわからないことだらけで何度も質問しましたが、「機能の使い方」だけでなく「なぜそうしなければならないか」まで丁寧に説明していただけたので、同じミスを繰り返さずに済みました。その姿勢がとても助かりました。
本日は貴重なお話をありがとうございます。最後に、今後の展望やmultibookに期待することについてお聞かせください。
塩崎様:運用面での活用は定着してきましたが、まだ使いこなせていない機能もあります。経営面でのさらなる活用を模索していきたいですね。また、他社の活用事例をオープンに共有いただけると、「そういう使い方もあるのか」という気づきにつながると思います。ユーザー同士がお互いの知見を持ち寄れるようなコミュニティができれば、双方にとって有益なのではないかと期待しています。
大須賀様 :蓄積されたデータをいかに活用していくかが、これからのテーマだと思っています。販売単価・購入単価のデータベースをしっかり育てていき、取引先ごとの価格推移を経営に活かしていきたいです。
(取材・文/猪俣 奈央子)
お客様概要
- 会社名
- 日本ECOTS株式会社
- 事業内容
- テキスト