「月末集計時間80%削減」「販売管理業務の属人化とブラックボックス化からの脱却」「商社特有の複雑な商流を可視化」導入決定から本稼働までわずか1カ月。multibookが支えたイタリア拠点の立ち上げ

[写真]サンユインダストリアル株式会社 大阪支社 モビリティ&電子材料グループ
樹脂・石油・化学の専門商社として100年以上の歴史を持つサンユインダストリアル株式会社。欧州のEV市場拡大を見据え、2021年にイタリア拠点を立ち上げました。海外現地に常駐社員を置かない運営形態のため、日本からのリモート管理体制の構築が不可欠でしたが、既存の国内向け販売管理システムでは外貨・多言語に対応できず、業務のブラックボックス化や多大な業務負荷といった課題に直面します。そこで2024年、受注・出荷・請求、発注・入庫・仕入先請求といった一連の業務プロセスに対応する「multibook ロジスティクス」を導入しました。今回はモビリティ&電子材料グループの田口様と高木様に、multibook導入の経緯と成果、完全リモート体制を支えるmultibook活用術についてお話を伺いました。
導入前の課題
- イタリア拠点は現地社員ゼロの運営形態のため、日本からリモートで受発注・在庫・資金管理を行う必要があった。
- 本社で利用している日本国内向け販売管理システムでは、小数点以下第二位の入力ができず、ユーロにも非対応で、海外拠点の業務管理が複雑かつ負担が大きかった。
- 特定の担当者しか業務内容を把握できない「ブラックボックス化」が進行。ミスや計上漏れが起きやすい状況だった。
- 商社特有の複雑な商流を管理するには、複数の表計算ファイルを行き来して手作業で紐付けを確認する必要があり、膨大な時間がかかっていた。
multibookを選んだ理由
- 多言語対応と外貨対応(ユーロ含む多通貨)が標準装備されており、海外拠点管理に適していた。
- コストパフォーマンスが高く、既存システムの海外対応版導入に比べて大幅にコストを抑えられた。
- 受注計上から発注、売上・仕入れ、入金・支払いまで、商社の業務フローに沿った段階的な記録・管理ができ、データがわかりやすく出力できることを事前のデモで確認できた。
- クラウド型のため、現地にサーバーを置く必要がなく、日本からブラウザ一つでアクセス可能。日本拠点からのリモート管理に最適だった。
導入後の効果
- 月末集計作業時間が導入前の月約40時間から月約8時間へと約80%削減。月平均6件発生していた転記漏れもほぼゼロになった。
- 業務の属人化が解消され、特定の担当者しか把握できなかった「ブラックボックス」状態から脱却。チーム全体でデータを共有できる体制を実現した。
- 6カ月先までの入金・支払い予定をmultibookに計上することで資金繰りを「見える化」。わずか5〜10分で資金状況を把握できるようになり、業務負荷が大幅に軽減された。
- 「ロジスティクス伝票フロー図」により、発注書ごとの処理進捗状況が一目で把握可能に。複数ファイルを行き来して紐付けを探す作業が不要となり、初心者でも迷わず計上作業ができるようになった。
- 将来的な多国展開においても、multibookの多言語・多通貨対応により柔軟にスケールできる基盤を確立した。
完全リモート×ファブレス。欧州EV需要に応える”新しい海外拠点運営”
御社の事業内容やイタリア拠点の立ち上げの背景について教えてください。
田口様:当社サンユインダストリアルは、1921年の創業以来、樹脂・石油・化学の専門商社としてグローバルに展開をしてきた企業です。なかでも私たちが所属するモビリティ&電子材料グループは、加工された樹脂製品を中心に扱っており、特にEV(電気自動車)のインバータ関連部品向けの樹脂材料ビジネスに注力している部署になります。
イタリア拠点の立ち上げは2021年のことです。当時、欧州でのEVシフトが本格化し始め、現地での需要拡大が見込まれていました。それまでは大阪のグループ会社から樹脂を輸出していましたが、地産地消の流れと、REACH規制などヨーロッパ特有の厳しい環境規制への対応が必要となり、現地生産へ舵を切ることになりました。
特徴的なのは、イタリア拠点の運営体制です。現地に当社の社員は配置せず、受発注や在庫管理、売掛金管理などの業務をすべて日本からリモートで行っています。製造自体も現地の委託加工メーカーに任せるファブレスモデルを採用することで、迅速かつ効率的な供給体制を実現できています。現在は、将来的な需要増を見据えて生産能力の増強も視野に入れているところです。

[写真]サンユインダストリアル株式会社 田口様
量産本格化の前に立ちはだかった”見えない壁”
multibook導入前、イタリア拠点のバックオフィスはどのような課題を抱えていましたか。
田口様:イタリア拠点の立ち上げ当初は、日本国内で使用していた販売管理システムのアカウントを増やす形で対応していました。しかし、その販売管理システムは日本国内向けのパッケージシステムのため、小数点以下第二位までの入力ができなかったんです。当然、ユーロにも対応しておらず、金額を100倍にして入力するなど、かなり複雑な運用を強いられていました。
拠点立ち上げ当初は月に5、6件程度の伝票数だったので何とか対応できましたが、量産が始まれば数十件、数百件と増えることが予想され、さすがに、このままでは管理できないだろうと考えていました。
さらに大きな課題だと捉えていたのが「業務のブラックボックス化」です。現地に自社の人間がいないため、在庫の動きや売掛・買掛の状況がメールや表計算ソフトではリアルタイムに把握できず、ブラックボックス化が進んでいました。そのため2023年秋頃から新システムの検討を始めました。
他社と比較検討されましたか。システム選定ではどのような点を重視されたのでしょうか。
田口様:システム部門が中心となり3、4社ほど比較検討しました。最優先条件として定めたのは、「英語などの多言語対応ができること」と「外貨対応が標準装備されていること」の2点です。
日本のシステムは使いやすいものの、海外対応にはカスタマイズが必要で費用が数千万円かかるケースもありました。一方、海外の安価なシステムはマニュアルがすべて英語で、日本の担当者が使いこなすのは難しい状況でした。multibookは、その両者のバランスが最も優れていました。
また、クラウド型である点も私たちにとっては高評価でした。サーバーを現地に置く必要がなく、日本からブラウザ一つでアクセスできるため、リモート管理に適していると考えました。
導入前にmultibookに期待されていたことを教えてください。
田口様:先ほど申し上げた「英語対応」「ユーロ対応」がまず最優先事項としてありました。その上で「商社の業務フローに沿った管理」ができることを期待していました。
具体的には、受注・発注から始まり、出荷・入荷、売上・仕入れ、そして入金・支払いまで、一連の流れを段階的に記録・管理できること。これらのデータがわかりやすく出力できて、誰が見ても理解できる状態で管理できることが重要でした。導入前のデモを拝見した際、こうした要件を満たせる機能が備わっていることがわかり、導入を決めました。

[写真]サンユインダストリアル株式会社 大阪支社 モビリティ&電子材料グループ
導入決定から本稼働までわずか1カ月。短期導入を実現した綿密な準備
multibook導入前に、不安に感じていた点はありましたか。
田口様:事前の打ち合わせで画面を詳しく見せていただいていたので、特に不安はありませんでした。multibookでは受注計上からスタートして、その後の処理がすべて紐付けされていきます。画面上でグラフィカルに、つながりを視覚的に把握できる点が、計上者にとって非常にわかりやすいと感じました。
また、出力データについても管理項目の分類や、数量・単価・金額といった必要最小限のデータがしっかり出力できることを事前に確認できていました。
2024年9月にお問い合わせいただき、11月にトライアル開始、12月に導入決定、翌1月稼働という短期間での導入でした。
田口様:はい。実は、イタリア法人の決算が12月で、1月から新システムでスタートさせたいという事情がありました。マルチブックには無理なお願いをしてしまったと思いますが、スピード感を持って対応いただきました。
ちょうど導入のタイミングで、それまで担当していた前任者が産休・育休に入ることになり、当時計上の状況を把握できていたのが彼女一人だったこともあって、引継ぎが大変でした。そこで新たに入社した高木が中心となり、一人の頭の中だけで管理するのではなく、multibookのデータをチーム全体で共有できる体制に切り替えていきました。
短期間での導入を実現するために、どのような工夫をされましたか。
田口様:まず、テスト環境でマニュアルを見ながら、multibookに登録すべき項目を徹底的に洗い出しました。税金勘定、取引先、取引先分類、勘定科目など、必要な設定を手元のノートに書き出して整理しました。
その後、テスト環境で実際にいろいろ入力してみて、動作を検証しました。テスト環境を一度リセットし、不具合が出そうなところを修正して入れ直すなど試行錯誤を繰り返し、1月末には本番環境に移行できる状態まで持っていきました。
入念な準備をされていたおかげで、短期間での導入が実現したのですね。
田口様:そうですね。導入後、スムーズな運用ができるかを検証したかったので、本格稼働する前に、2024年1月から12月までの1年分のデータをmultibookに入れてみるということもやりました。そして売上や仕入れ、残高などのアウトプットデータが従来のシステムと完全に一致するかをチェックしました。
この検証により、multibookから出力されるデータの正確性を確証できたため、安心して本格運用に移行できました。
販売管理業務のブラックボックス化を解消。月末集計時間80%削減をはじめ大幅な業務効率化を実現
現在、どのようにmultibookをご活用いただいていますか?
高木様:現在、イタリア拠点における受発注管理はすべてmultibookを活用しています。まず受注・発注の計上を行い、その後、締め日までに当月分の売上・仕入れ処理を行っています。当社ではPO(発注書)ごとに管理しており、納期日をベースに処理を進めていて、支払いや入金が発生した際に、その都度multibookで計上するという流れになっています。
どんなところにmultibookの良さを感じていますか。
高木様:私自身は2024年11月に入社したばかりで、こういったシステムにも初めて触りました。最初は表計算ソフトで手入力管理していたため、私が計上を漏らすと全体に影響が出てしまう状態でした。しかし、2025年1月にmultibookを本格導入してからは、計上漏れがあっても他のメンバーが確認してすぐに気づけるようになりました。計上内容が可視化され、わかりやすくなったのが最大の利点だと感じています。
田口様:管理者の立場から見たmultibook導入の最大のメリットは、受注や購買発注、請求、仕入先請求、債権明細、債務明細といった6種類のデータを活用でき、収支と資金繰り、在庫資料の管理を効率よくできるようになった点です。
以前は、資金繰り一つをとっても、入金データをすべて手入力していたため、膨大な時間がかかりました。また手作業ではどうしてもミスが発生してしまいます。過去には入力漏れが発生し、ヨーロッパの銀行口座残高がゼロに近づいて現金を払えないという危機的な状況に陥ったこともありました。
現在は6カ月先までの入金・支払い予定をmultibookに受注・発注計上として入力しているため、取引条件に基づいて「いつ支払わなければならないのか」「いつ入金されるのか」を見える化できています。
高木が計上したデータを出力すれば、わずか5分から10分で資金繰り状況が把握できる状態です。急な送金が必要になるケースは完全になくなり、資金管理が安定しました。
定量的な成果も出ていますか。
田口様:はい。システム導入後半年間で、業務プロセスが「表計算ソフトの手入力、転記」から「一元化されたデータベース」へと変わり 、様々な定量的な成果が得られています。
たとえば、月末集計作業は導入前の月約40時間から、導入後は月約8時間へと「約80%」の削減を達成していますし、月平均6件発生していた転記漏れも、「ほぼゼロ」になっています。
また、定性的な面でも大きな改善が見られました。導入前は業務の属人化や情報共有の遅延といった課題がありましたが、導入後は一元化されたデータベースとリアルタイムでの情報共有が可能になり 、「業務プロセスの標準化」と「進捗状況の可視化」を実現できるようになりました。課題視していた業務管理のブラックボックス化が解消されたのも大きなメリットです。
複雑な商流も”ひと目”で把握。「ロジスティクス伝票フロー図」の威力
multibookのロジスティクス機能の一つである「ロジスティクス伝票フロー図」はどのように活用されていますか。
高木様: 当社ではPOごとに管理しているのですが、計上作業の際、そのPOについてどこまで処理が完了しているかを確認するために、常にフロー図を使っています。
たとえば、運賃の請求書が届いた際、「この請求書はどのPOに紐づくのか」を確認する必要があります。その時、multibookでPO番号を検索してフロー図を表示すれば、そのPOに関連するすべての伝票が視覚的に表示されるため、すぐに状況を把握できます。
計上作業が溜まってくると、「この伝票は計上済みだったか、まだだったか」がわからなくなることもあるのですが、フロー図を見ればすぐに確認できるので便利です。
フロー図があることで、業務効率はどの程度変わりましたか。
高木様:作業時間は大幅に短縮されました。POごとに処理の進捗状況が一目でわかるので、迷うことなく次の作業に進めます。図がなければ、複数のファイルを行き来して紐づけを確認しなければならず、かなりの時間がかかっていたと思います。
田口様: 当社の場合、一つの受注伝票に対して、5つ、6つと発注計上が枝分かれし、そこからさらに複数の伝票に展開されていくため、網目のように複雑になります。こうした複雑な計上を一目で管理しようとすると、図示されていないと非常にわかりにくいのです。計上者にとって大きなメリットがあると感じています。
以前のシステムでは、こうした確認作業はどのように行われていたのでしょうか。
田口様: 国内で使用している従来の販売管理システムでは、入力画面があって帳票が出力されるだけで、画面上で伝票のつながりを視覚的に確認することはできませんでした。POベースで関連伝票をさかのぼろうとすると、表計算ソフトに一度出力して、そこから手作業で紐づけを探していく必要がありました。
最近の国内システムでは視覚化機能が増えてきているかもしれませんが、当社の従来システムにはそうした機能がなかったため、multibookのフロー図機能は画期的でした。複雑な商流を扱う商社にとって、こうした可視化機能は業務効率に直結する非常に重要な要素だと実感しています。

[写真]サンユインダストリアル株式会社 大阪支社 モビリティ&電子材料グループ
海外展開の”インフラ”として。グローバル展開に”なくてはならない存在”
御社にとってmultibookはどのような存在でしょうか。
田口様: 今後の海外展開においてなくてはならないシステムだと捉えています。
現在はヨーロッパのビジネスで活用していますが、今後さらに海外展開を進めていく可能性があります。新たに海外拠点を立ち上げる際にも、通貨の単位が異なる地域や、現地のスタッフに運用を任せる場合でも、multibookであれば対応可能です。もし別のシステムを一から導入しようとすれば、膨大な労力と時間がかかってしまうでしょう。
現在は国内大手電機メーカー様がメインユーザーですが、それだけでも取引先は複雑です。生産拠点はイタリア、顧客の工場はスロバキア、そして原料の仕入れ先はEU各国、中国、日本、インドと多岐にわたります。今はユーロに統一していますが、今後さまざまな通貨での売買が発生した際にも、multibookは多通貨対応が可能なので、自社の成長に合わせて柔軟に展開できると考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました。最後にmultibook導入を成功させるポイントについて、お考えをお聞かせください。
田口様: multibookはシンプルでわかりやすく、短期導入が可能な点が大きなメリットですが、導入を成功させるには、multibookの計上の仕組みをしっかり理解した上で設定を行うことが重要です。
当社も最初から完璧に把握していたわけではありません。受注・発注計上から売上・仕入れ計上、債権債務の入金・支払い計上まで、それぞれのデータの特徴を理解し、必要なデータだけを抽出するルールを構築しました。例えば、入金・支払いデータを正確に管理するため、伝票の紐付けルールを明確にし、反対仕訳のデータも適切に処理できるよう工夫しました。
このルール構築には数ヶ月の試行錯誤が必要でしたが、一度仕組みができあがれば、非常に使いやすいです。ただし、データの加工や抽出をある程度自社で行える体制が必要で、すべてをシステム会社に依頼するタイプの企業には向かないかもしれません。
重要なのは、「このシステムで何を達成したいのか」というポイントを明確にすることです。当社の場合は、入出金データの特定と伝票の紐付けを最優先課題として設定し、それを軸に運用ルールを構築しました。この明確な目標設定が、短期導入と運用成功の鍵だったと考えています。
(取材・文/猪俣 奈央子)
お客様概要
- 会社名
- サンユインダストリアル株式会社
- 事業内容
- 樹脂・石油・化学の専門商社
































































































