タイ会計監査の季節

会計

記事更新日:2023/07/25

タイ会計監査の季節

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こんにちは。マルチブックタイのマサキです。

「今日は風が涼しいねー、サバイディーマーク!」

見ると、タイ人の女性が手をいっぱいに広げていました。仕事が終わって同僚たちと一緒にゴハンでも食べに行くのでしょう。さらに彼女はトンロー駅前の歩道でクルっと一回転。「轢かれるぞ」なんて仲間にたしなめられながら、ワイワイとどこかへ歩いていきました。

※タイ語「サバイディーマーク」は日本語で「チョー気持ちいい」(水泳の北島さん風訳)です。

最近、バンコクではようやく雨が降るようになりました。今朝も降って、それまでの暑さが少しゆるんで、夕方には本当にいい風が吹いていました。PM2.5もない。空気がスッキリしています。週末はお客様とゴルフです。「どうか涼しくあってくれ。そしてギリ雨が降らないちょうどいい感じであれ」と念じながら家路を急ぎました。

弊社ではサポートの一環で、日々ユーザー様からmultibookの使い方などのお問い合わせをいただきます。この時期は特に3月決算のお客様が多く、会計監査対応のため「レポート用にこんなデータを出したいんだけど…」「伝票を訂正入力したいんだけど…」といったご質問内容が参ります。お問い合わせいただく経理スタッフも切羽詰まっているのでしょう。「いついつまでに回答ください」としっかりDue Dateの指定があったりします。普段おおらかなタイの方は日本人ほどスケジュールにうるさくないのですが…監査となればスイッチが入っています。タイの監査はグループの決算スケジュールへも影響しますから、グループ一丸となって遅れがないよう取り組んでいらっしゃることと思います。弊社も緊張感を持ってご回答しています。

タイの会計監査は会社によってとても時間がかかる場合があります。「タイの会計は『税務』である」と聞くこともありますが、複雑な税制の中、時には税務署員の「解釈」が優先されるケースもありますので、監査では法人税申告の前提となる財務諸表をしっかりとした根拠に基づいて説明ができる内容とするため、当然ですが監査人からの不整合の指摘に対して丁寧に対応しなければなりません。また日本では「大企業」のみですが、タイではすべての企業に監査が義務付けられており、特に「中小企業」にとって負担が大きい制度になっています。

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前述の複雑な税制について、例えば「源泉徴収税」として法人税の一部を期中に納付済みのため相殺や還付が発生することや、「法人税の中間申告」と法人税申告の整合が求められること、日系など外資系企業では「移転価格税制」や「BOI免税恩典」への対応などがあげられるでしょう。またそれらの根拠となるTax Invoice等の証憑が「紙ベース」であったり、それらの発行が「取引先マター」であることによって、数字が間違っている場合や、最悪の場合に紙を紛失してしまった、などが発生し、監査が長引く原因となります。

さらに監査期間が長いことが別の問題を引き起こします。前年度の監査がまだ済んでいないまま並行して当年度の月次決算を進めざるを得ませんから、監査で指摘を受けた際に前年度分の遡及訂正が複雑になるのです。タイの会計システムには「ある程度の柔軟性」が求められます。例えばmultibookの「前年度固定資産取得機能」はそんなタイのお客様からのご要望で開発した機能です。前年度にいったん経費計上したものの監査から固定資産として計上すべきと指摘を受けたケースに対応できるようにしました。一方で会計システムは「内部統制」をおろそかにできません。Excelのように「何でも好きに直せてしまう」のではなく、統制が効いた堅牢な仕組みの中に、タイに必要な柔軟性を織り込んでいます。

 タイの会計・監査の基本を分かりやすく解説!ブログはこちら>>

タイの監査を戦い抜くには、透明性が高い経理の仕組みを構築するほかありません。日々の記帳業務で伝票と証憑とその承認証跡をセットで記録すること、月次決算の中でひとつひとつの問題をクリアにすること、それからそのデータを一か所に集めて見える化すること。multibookも会計/ERPシステムとしてこの「基本」を大事にしています。

タイの監査対応はタイ人にしかできません。監査人も会計記録責任者も「タイ語が話せるタイ人」にのみライセンスが与えられるからです。日系企業の場合、経理スタッフは日本人マネージャーや日本本社との合意形成もしなければなりません。ただでさえ監査人や取引先との調整が大変なのに、さらに言葉が通じない日本人にそれをイチから説明し判断を仰ぐのは本当に骨が折れることだろうと思います。

先日、監査用のレポート作成についてお問い合わせいただいたあのユーザーもウキウキでゴハンに行けてたらいいな、と思います。「multibookで記帳してたから日本人にうまく説明できたよ」とまでは言ってもらわなくてもいいのですが、そうなっていて欲しいなと思います。

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最後に少しだけ、マルチブックについて紹介をさせてください。

弊社が提供するmultibookは、海外拠点の経営管理に特化したクラウド型会計・ERPサービスです。「見える化・業務効率化」、「内部統制・不正防止」、「連結決算早期化」の実現をご支援し、今では世界30カ国以上、400社以上でご利用いただいています。 

そして昨年には、お客様から多数寄せられた「multbookを使いこなす海外拠点の経理人材自体が不足している」というお悩みも併せて解決しよう!ということで、海外経理業務のアウトソーシングサービスである「海外クラウド経理部」をローンチしました。

こうしたサービスで、「海外経営への挑戦をもっと身近に、もっと簡単に」を実現し、日本企業のさらなる海外進出・海外ビジネスの成長をご支援するのが我々のミッションです。

マルチブックタイには私だけでなく、タイローカルメンバーも在籍しておりますので、タイ人とのやり取りも、安心です。

経理業務でお困りの方は、ぜひお気軽にお問合せください。

<この記事の著者>

薜 杏平

Multibook International (Thailand) Co., Ltd.
Director, Japan Business
‘79年生まれ石川県七尾市出身。システムエンジニアとしてタイへ赴任し製造業向けシステム開発に5年間従事。タイと海外ビジネスが好きになる。帰国後、ERPメーカーの生産・原価管理コンサルタントとして6年間、日本、タイ、ベトナムのERP販売・導入に携わる。2021年よりマルチブック社のタイ拠点を設立・赴任しタイ・アセアンのお客様を現地サポートする体制を構築。海外経営に挑戦する企業様に会計・ERPシステムを活用したグローバルデータ経営をご提案している。仕事のあとでムーピン(豚の串焼き)をアテにシンハービールを一杯やりながら次のゴルフラウンドのことを考えている時間がなにより幸せ。

この記事を書いた人

マルチブック編集部

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