タイ会計・監査の基本を解説

タイ

記事更新日:2021/07/28

タイ会計・監査の基本を解説

こんにちは、マルチブック編集部です。

 タイは日系企業の海外進出先国として上位に位置し、約5,500社が進出されていると言われており、多くの日系企業にとってグローバルビジネスを進める上で重要な進出国の一つとなっております。一方で、日本では営業や生産業務をされていた新任の駐在員の方々や新規進出企業の本社管理部の方々からすると、他国と比較すると複雑だと言われているタイ税務・会計制度に関して、苦労が尽きないのではないのでしょうか

そこで、今回はタイでの会計・監査について解説致します。タイ国内の企業はタイの会計基準にしたがって財務諸表を作成し、すべての企業が免許を有する監査人による監査を受けなければなりません。さらに、経理担当に要求される資格や会計帳簿の保存期間、財務諸表の提出などに関するタイ特有の法律があります。

タイに駐在中(駐在予定)の方で会計・監査の基本をおさえておきたい方や、本社管理部の方で新しくタイ拠点管理に関係するようになり、基本だけは知っておきたいという方は、是非ご参考にしてください。

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タイの会計を知る上で押さえておきたい基本

タイの会計基準:TFRS for PAEsとTFRS for NPAEs

タイ国には2つの会計基準があります。どちらも体系的にまとめられておらず、テーマ毎に基準が制定されていることが特徴です。

一つ目の会計基準はTFRS for PAEsです。こちらは主に負債証券を発行して公的市場で取引されるような、公的説明責任を有する企業に対して適用されます。

もう一つは簡易的な会計基準であるTFRS for NPAEsです。公的な説明責任を有しない企業は負担の少ないTFRS for NPAEsを選択することが可能です。(日系企業の子会社は公的説明責任を有しないことが多いため、ほとんどがこちらを適用しております。)

TFRS for PAEs のもとでは、以下を開示しなければなりません。  

・財政状態計算書                      

・包括利益計算書                      

・持分変動計算書                      

・キャッシュ・フロー計算書                 

・財務諸表の注記                      

TFRS for NPAEs のもとでは、以下の開示が必要となります 。

・財政状態計算書                      

・損益計算書                     

・持分変動計算書                      

・財務諸表の注記

※参考:EY新日本有限責任監査法人ジャパンビジネスサービス「2018年タイの会計、監査、税務ガイド 」 

タイにおける財務諸表に関する規定

タイでは非公開企業でも年に一度、財務諸表の承認を株主総会で得たのちに商務省に提出する義務があります。

財務諸表に関する規定は下記の通りです。

 ・財務諸表は年次で作成しなければならない

 (民商法典1196)

 ・監査済の財務諸表は決算日から4ヵ月以内に株主総会で承認され、承認後一か月以内に商務省に提出されなければならない

 (民商法典1999条)

 ・決算日から150日以内に、法人税の確定申告をするために年次法人税申告書とともに財務諸表と監査報告書を歳入局に提出しなければならない 

 (歳入法典第 69 条)

 ・保存期間は原則5年

 (会計法第 14 条より)

タイの監査制度とは

タイではすべての企業に対して、公認会計士による財務諸表の法定監査が義務となっています。そして監査を受けた4カ月以内に株主総会に提出しなければなりません。

・当該外国法人の財務諸表は、公認会計士の監査を受けたものでなければならない。(会計法 11 条、歳入法典 69 条、同 3 条の 7)。                     

・会計監査人は、公認会計士(Certified Public Accountant:CPA)でなければならない(会計法 11 条)                                   

(民商法典第 1197 条より) 

タイにおける監査法人の選び方と注意点

 タイでは監査法人はかなり安いものから、大手の監査法人まであります。大手の監査法人の方が信頼感も高く安心感がありますが、監査費用は比較的高額、かつ現地スタッフは監査対応に多大な時間を取られます。一方で、格安の監査法人は年10万円以下で依頼できますが、細やかな確認は期待できず、処理の誤りを訂正できないこともあります。

現地監査法人を利用していた際には、ずっと黒字だったものの、大手監査法人にて監査を依頼したところ急に赤字に転落してしまったという企業もあります。他にも、税務上の違反が放置され、後々多額の罰則金を支払わなければならないこともあります。

そのため、基本的には大手監査法人で監査を受けるべきだが、どうしても費用面が合わない等という際には、何年かに一度は大手監査法人で監査を受けることが良いのではと考えます。

タイ政府への申告と提出書類

 タイ国内で事業を行う、外国の法律により設立された法人は、法人所得税の申告納税義務、源泉税の徴収義務があり、財務省歳入局において納税者番号(Tax Identification)を取得、商務省事業開発局において登記する必要があります。(外国法人とは、株式会社だけでなく支店、 駐在員事務所、地域統括事務所、タイ国政府または国営企業との共同事業者等があてはまります。)

また、タイ証券取引所には以下の報告書を提出しなければならなりません。

・年次財務諸表(3ヵ月以内)               

・年次届出書(3ヵ月以内)               

・年次報告書及び年次総会招集通知(110日以内)      

・四半期財務諸表(45日以内)              

タイ会計経理担当者の条件について

タイの会計制度には『「会計記録責任者」と「会計記録担当者」を必ず設置しなければならない』という特徴があります。

会計記録責任者とは?必要な資格であるCPDとは

会計記録責任者は、適正な財務諸表の作成や帳簿の保存などを行い、会計に責任を持ちます。

会計記録責任者は、CPDというライセンスを所持する者でなければなりません。各企業はこのCPDを選任し、国税局に届け出る義務があります。税理士資格のような位置づけであるCPDライセンスは、試験への合格ではなく、大学で会計を修了したことを条件に取得できます。そのため、会計記録責任者の中でも新卒者からBOI企業の税務申告書を書くことができる者までレベルは様々です。

※BOIについて詳しくはこちら

 さらに、CPDはタイ人にしか付与されておらず、タイ以外の国の会計資格では対応できません。そのため、CPD保有者は常に不足しており、さらに語学力も求めると給与の水準がかなり高額になってきます。その反面、CPDスタッフを社内で直接雇用すると、日々の会計処理が早期対応が可能、財務諸表の確認や経営判断が素早くできるなどのメリットはありますが、多くの日系企業は会計事務所にアウトソースしています。

会計記録担当者とは?経理担当に関する規定

会計記録担当者とは、実際に記帳を行ういわば経理担当者のことです。企業は設立後1ヵ月以内に会計記録担当者を任命し、国税局へ届け出なければなりません。

会計記録担当者は以下の条件を満たさなければなりません。

【経理担当に関する規定】

・タイ国に在住し、十分なタイ語能力を保有すること。                

・会計学を大学(非上場企業であれば職業高校でも可)で学んだか、それと同等の関係公的機関に認められること。                              

・就任後も3年間で27時間以上のセミナー受講すること               

(2000年会計法より)             

仮に上記のような経理担当者やタイ人のCPDスタッフを雇用できない場合は、会計事務所に委託をすることが会計法などで定められています。

※参考:タイ会計サービス比較.com 2019

現地ソフトのデメリットと切り替えるべき理由

タイに進出している多くの日系企業では、現地ソフトを利用されているケースが多く見受けられます。こういったケースでは本社からの数字把握に時間がかかったり、不正の検知をすることが困難だという課題をお聞きいたします。決算の早期化や内部統制強化を目指している企業では本社からの参照や統制をかけることが可能なシステムへの入れ替えを早急に取り組むべきと考えます。

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参考

・新日本有限責任監査法人 タイ国の会計・税務・法務Q&A、海外進出の実務シリーズ 平成27年

第 6 章 会計制度と監査制度 -Deloitte 2020

JETROバンコクセンター編「民商法典 2」

この記事を書いた人

川畑優太

株式会社マルチブック プロダクト事業本部
主任
川畑 優太

2019年、multibookの市場性に魅力を感じ、国内向けソフトウェア会社を経て株式会社マルチブックに入社。
国内では本社の課題解決に向けて提案しながら、海外においてもアジア圏を中心に月1~2回のペースで出張し、
海外子会社向け提案や海外パートナー創出にも従事。(※コロナ以前)
これまでに15か国以上の日系企業海外拠点へのmultibook案件受注を実現し、
「本社・海外子会社の両社に寄り添った提案」をモットーに、お客様の課題解決をサポート。

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