経理BPOサービスの基礎知識|導入するメリットや事業者の選び方
経理アウトソーシング(BPO)
記事更新日:2023/03/06
経理BPOサービスとは、経理・財務業務の一部を外部委託することです。BPOサービスの導入で業務の効率化やコスト削減などが実現することから、多くの企業が導入するようになりました。
本記事では、経理BPOサービス導入のメリットや導入時の注意点、導入手順などを解説します。経理BPOサービスを導入して効果的な活用をしたいと検討しているなら、ぜひ参考にしてください。
経理BPOサービスとは
経理BPOとは、自社で行っていた経理や財務業務の一部をアウトソーシングすることです。最初に、具体的な委託業務の範囲などを下記にて詳しく解説します。
BPOの意味
そもそもBPOとはBusiness Process Outsourcing(ビジネス プロセス アウトソーシング)の略語で、自社業務の一部を専門事業者に外部委託することです。経理や人事などノンコア業務で導入されることが多く、これらの業務をアウトソーシングすることで自社はコア業務に専念できます。
BPOサービスの利用で経理業務に精通している事業者に委託でき、人手不足を解消できるなどメリットも多いため、導入する企業が増えています。また、今後もテレワークの常態化や慢性的な労働力不足が続くことから、BPO市場はますます拡大すると予測されています。
BPOの区分はIT系と非IT系
BPOサービスは、大きく「IT系」と「非IT系」に区分されます。IT系のBPOサービスとしては、情報システム部門が行うシステムの運用業務を外部委託するサービスが挙げられます。一方で非IT系BPOは、システム運用以外のビジネスプロセス全般のサービスを指します。経理BPOは非IT系BPOに含まれ、このほか営業代行や採用業務代行などもこれにあたります。
経理(財務)BPOサービスの業務範囲
具体的な経理・財務のBPOサービスとは、高度な経理・財務のスキルを身に付けたスタッフによって、決算や債権管理、債務管理、経費・固定資産管理などの業務を代行するサービスです。主に下記のような業務が対象です。
伝票入力
伝票入力は経理業務の基本ではあるものの、工数が多く人手や時間の負荷も多いため、外部委託されることが多い業務です。
支払
支払対象債務の抽出等準備作業なども、BPOの業務範囲です。ただし実際の振込や送金は、自社で行うことが一般的です。
請求書発行
出荷データをもとに請求書を発行する業務も、外部委託することが多い仕事です。DX化により手作業の請求書発行は減少傾向にあるものの、いぜんとして、アウトソーシング対象になることが多い業務です。
債権消込管理
得意先からの入金情報をもとに売掛金の消し込みを行って、債権消込管理をする業務です。月末・月初に作業が集中し、工数がかかり、人手や時間の負荷も高く、アウトソーシングが検討される業務です。
決算
月末・月初に作業が集中し、工数がかかり、また経理の専門知識がもとめられますが、経理スタッフの採用は難しく、伝票入力とあわせて、アウトソーシングが検討される業務です。
経理BPOサービスを導入するメリット
経理業務にBPOを導入することで、コスト削減や人材不足解消、業務効率化などのメリットがうまれます。下記にて詳しく解説します。
コストの削減
BPOで経理業務を外部委託すれば、社員の業務時間や労力を軽減でき、人件費等のコスト削減にもつながります。突発的な事象への対応や忙しい時期だけの利用も可能なので、委託する規模や特性、時期などに合わせて活用すると、効率的なコストダウンも実現します。
人材不足の解消
BPOサービスを提供する事業者はその分野の専門性が高く、スピーディな業務を期待できます。仮に自社のキャリアを積んだ人材が退職しても、次の人材獲得や育成の労力を省くことが可能です。専門性が高いことからミスが減り、トラブル発生時の対処もスムーズになるため、顧客満足度の向上につながり自社の信頼度も上がることでしょう。
業務の効率化
経理業務をアウトソースする際、業務プロセスフローの見直しも行われますので、業務の効率化も期待できます。また社員は、計画や分析といった高度な業務に集中することが可能になります。
決算の早期化
BPOを利用することで、決算業務に関わる人員の負担を軽減することができます。また、BPO業者は決算業務に関する専門知識を持っているため、迅速かつ正確な業務を行うことができます。
さらに、BPOを利用することで、決算業務にかかる時間を短縮することができます。BPOを通して実現する業務の自動化や効率化により、人的ミスを減らすことができ、決算業務の早期完了につながります。
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経理BPOサービスを選ぶ際のポイント
実際に経理のBPOサービスを選ぶなら、どのような点に注意するとよいのでしょうか。下記にて詳しく解説します。
実績があるかどうか
サービスを提供している事業者に、高い業務遂行力や豊富な実績があるかどうかは重要な選択ポイントです。企業規模や今までの実績数のみならず、自社と同業種や同規模企業での実績や、同程度の難易度の実績が豊富か否かも確認するとよいでしょう。
信頼性が高いか
経理のBPOでは、自社の売上や決算情報など機密事項も開示することになるため、事業者の信用度や信頼性も重要なチェックポイントです。情報管理が徹底されているか、運用後のマネジメント層との定期的な交流があるかどうかなども調べておきましょう。信用力調査や口コミのチェックのほか、事業者が上場していれば財務情報なども確認しておくとよいでしょう。
自社が望む業務を請け負えるか
経理のBPOサービスは、事業者によって請け負う範囲が異なり、それぞれに得意・不得意の分野があります。業務委託するには、自社の目的を達成できる業務を依頼できるかなどを事前に確認しましょう。
国内だけではなく海外にも拠点がある企業なら、各国での経理業務のノウハウや各国特有の慣習に精通した事業者に依頼しなくてはなりません。単なる経理業務の代行だけではなく、各国での分析レポートの作成などを担う事業者もあるため、経理代行に付随するサポート業務の内容も把握しておくとよいでしょう。
妥当な価格か
継続的に委託するのであれば将来も見込んだ予算設定を行い、予算内でコストパフォーマンスの高い業務を依頼できるサービスを選びましょう。海外拠点もある企業なら、各国でそれぞれのBPOサービスを利用するよりも、各国業務を一括対応できる事業者を選択した方がコストダウンできます。コストパフォーマンスも考慮した選択をしましょう。
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経理BPOサービスの導入手順
最後に効率よく経理のBPOサービスを導入する手順を下記にて詳しく解説します。
目的を明確にする
最初に現状の課題を整理して、BPOサービスを利用することで社内の何を改善するのか、ゴールは何か、どのような目的で導入するのかを明確にしておきましょう。BPOサービスの利用は単なる業務委託ではなく、自社業務の効率化や組織改革のための戦略なので、事前に充分議論しておく必要があります。
委託する業務範囲を決める
次に、どこまでの業務を委託するかを決めます。社員でないとできない、セキュリティ上自社で行わねばならないこともあるため、線引きをしっかりしておきましょう。また事業者によって得意・不得意もあるため、できるだけこれらの情報も事前に集めておくとよいでしょう。
サービス・事業者を選定する
最後に前述した選択ポイントを参考にしながら、実際に依頼する事業者や利用するサービスを決めていきます。最終的な事業者選定では、複数の事業者に見積依頼を行い、業務内容の確認を行うとよいでしょう。信頼できる事業者で希望する業務を予算内で依頼でき、担当者が相談しやすいなど相性の良さも考慮しましょう。
まとめ
経理や財務のBPOサービスは、導入することで業務の効率化やコスト削減につながり、戦略的に活用すれば自社商材のクオリティアップや顧客満足度向上、収益増なども期待できます。導入する事業者は、自社の目的を達成できる業務を依頼でき、セキュリティ面での信頼度やコストパフォーマンスなどをチェックして選びましょう。海外展開をしている企業なら、各国の経理業務のノウハウや慣習に精通している事業者を選ぶ必要があります。
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