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SAPによるグローバル統合を断念し、海外で別の2層ERPを利用する企業が多い理由

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記事更新日:2024/11/20

SAPによるグローバル統合を断念し、海外で別の2層ERPを利用する企業が多い理由

はじめに

企業がグローバル展開を進める際、統一されたERPシステムを導入することは、経営者にとって非常に魅力的な選択肢に見えます。特にSAPのような強力なERPプラットフォームは、多国籍企業が理想的なグローバル統合を目指す際に、よく採用される候補です。しかし、現実は理想とは異なります。多くの企業がグローバル統合を断念し、日本国内での導入にも長い年月を要する中、海外拠点では別のERPを採用するという選択を余儀なくされているのです。本稿では、その背景にある課題と、企業が取るべき現実的なアプローチについて論じます。

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理想と現実のギャップ:”世界で一つのERP”構想

グローバル・シングル・インスタンスは、国内外のグループ会社全体で単一のERPシステムを使用する形態を指します。このコンセプトには大きなメリットが期待されています。

例えば、リアルタイムでデータを一元管理することで、世界中の売上や在庫、受発注データを単一のデータベースに集約できるようになります。これにより、迅速で的確な経営判断が可能になります。また、業務プロセスを標準化することで、業務効率を向上させ、内部統制の強化にもつながるでしょう。しかし、この理想を現実化するには、多大なコストとリソースが必要です。

統合を阻害する課題

多様な規制と業務慣習の違い

各国の税制や会計基準、商習慣の違いは、統一されたERPを導入する上で大きな障害となります。特に新興国市場では、現地特有の要件に対応する必要があり、これが統一性を損なう要因となっています。

超高額なコスト

SAPのようなオンプレミス型ERPを全拠点に導入するためには、数億円から数十億円、大企業では数百億円のコストがかかることがあります。さらに、クラウド型と謳われるソリューションでさえ、実際にはAWSなどのサーバー上にホスティングするだけで、真のSaaSとしてのメリットを享受できていない場合も少なくありません。また、オンプレミス型ERPは導入した瞬間から老朽化が始まるため、都度顧客が費用を負担してバージョンアップを行う必要があります。老朽化したシステムを使い続けることは、企業にとって大きなリスクとなるでしょう。

長期にわたる導入プロジェクト

シングルインスタンスのERP導入は、大企業において3〜5年を要する場合があります。この間にも高額な保守費用がかかり、既に導入された拠点では改修コストが発生します。さらに、変化の激しいビジネス環境では、導入が完了する頃にはシステムが既に陳腐化しているリスクがあります。導入が完了したかと思えば、次のバージョンアップの準備が必要になるという事態も珍しくありません。

経営にとってのリスク

長期的なプロジェクトが進行する中で、コストと時間の増大が企業のリスクを高めます。特に、開発やアドオンの必要性が生じると、アップグレードコストがさらに膨らむことになります。予算が潤沢な大企業でも、主要子会社への導入時点で予算超過の問題に直面するケースがあります。

実体の異なるERPのバンドル

拠点ごとに導入時期や、アドオン(追加開発)の有無などが異なり、結果的にERPがバラバラの状態にある企業は少なくありません。また企業によってはSAP Business Oneのように、ブランドは同じでも実体が全く異なるERPを導入するケースでは、各拠点で統一の効果が得られません。その結果、単に名前が同じだけのバラバラのERP状態になり、「当社はSAPが入っているんだけど決算が遅い」、「拠点毎に結局バラバラで業務統合はできない」などはよく導入の方法を理解をされていない経営者から聞く言葉です。

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日本企業における現実的な選択

これらの課題に直面した企業の多くは、グローバル統一を断念し、地域ごとに最適化されたERPを採用する方向にシフトしています。最近では2層化ERPや、2層ERP戦略などと言われています。たとえば、海外拠点では、現地のニーズに柔軟に対応できるERPを採用することで、独自性を維持しつつ、迅速な経営判断を可能にしています。

この結果、企業は本社で大規模なERPを利用しながら、海外拠点では軽量で導入が容易なERPを活用する2層ERP戦略を採用する傾向にあります。

2層ERP戦略とmultibookの役割

2層ERP戦略では、本社と海外拠点で異なるERPを使用しつつ、必要な部分でデータやプロセスの統合を図ります。この戦略を支えるソリューションとして、multibookは多くの企業に選ばれています。

なぜmultibookが選ばれるのか

  1. コスト効率の高さ
    multibookはSaaS型のグローバルクラウドERPであり、初期導入費用や保守コストを大幅に削減できます。

  2. 迅速な導入
    他のERPに比べ、既に30か国での利用実績があり導入プロセスがスムーズで短期間で運用を開始できます。

  3. 多国間規制への柔軟対応
    複数通貨、複数税制や会計基準に対応したテンプレートを提供し、ローカル要件への適応が容易です。

  4. 統合の簡略化
    本社と海外拠点間のデータ連携が簡単で、効率的な財務管理が可能です。

  5. 継続的なイノベーション
    クラウドベースであるため、常に最新の機能を利用でき、システムの老朽化を防ぎます。

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まとめ:経営者への提言

グローバル統一ERPの導入は、企業にとって大きな挑戦であり、時にリスクを伴います。しかし、その課題を正しく認識し、柔軟な戦略を採用することで、コスト削減と経営効率化を同時に実現する道が開けます。multibookは、こうした現実的な課題を解決する最適なソリューションとして、多くの企業に支持されています。

グローバル展開における「現地対応と統合」の最適なバランスを見つけることで、貴社の成長をさらに加速させましょう。まずは貴社の課題やニーズをお聞かせください。

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この記事を書いた人

渡部 学

日系半導体商社にて経理、IT、シェアードサービス、海外業務統括、総務の責任者を経て、香港現地のM&Aに伴う買収先のPMIに従事。その後アジアパシフィック全域の財務統括を担う。帰国後は外資系医療機器製造業の日本法人におけるCFOとしてグローバル企業のリーダー職に従事。2019年株式会社マルチブックにCFOとして参画しM&Aによる資金調達をリード。2021年CEO就任。

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