海外給与アウトソーシング完全ガイド:メリットから導入ステップまでを解説
海外人事・給与計算アウトソーシング
記事更新日:2024/07/25
目次
はじめに
近年、企業のグローバル化が進む中で、海外拠点の給与業務をアウトソーシングする動きが広がっています。海外人事給与アウトソーシングとは、企業が海外の給与計算や関連業務を外部の専門業者に委託するサービスです。これにより、企業はコスト削減や業務効率の向上などのメリットを享受できる一方、法律遵守や現地事情の理解といった注意点もあります。本記事では、海外給与アウトソーシングの全貌について詳しく解説します。
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海外給与アウトソーシング活用のメリット
コスト削減
海外給与アウトソーシングは、給与計算にかかるコストを大幅に削減できる点が大きなメリットです。以下に具体例を挙げて説明します。
ある製造業の企業が海外拠点の給与業務をアウトソーシングした結果、以下のようなコスト削減を実現しました。
- システム導入費用の削減: 自社で給与計算を行うには専用の給与計算システムを導入する必要があります。しかし、アウトソーシングを利用することで、自社で新たにシステムを導入する必要がなく、その費用を節約できます。
- 人件費の削減: 給与計算には専門的な知識が必要ですが、アウトソーシング業者はその知識を持っています。そのため、自社で専門知識を持つ人材を採用・育成する必要がなく、人件費を大幅に削減できます。
このように、海外給与アウトソーシングを活用することで、企業はコストを削減し、資源を効果的に活用できます。
専門知識の活用
海外給与アウトソーシングを利用することで、各国の法律や規制に関する専門知識を活用できます。具体例を挙げて説明します。
例えば、ある企業がアジア地域に拠点を持っている場合、各国の労働法や税法に関する知識が必要です。しかし、これらの知識を自社で持っていない場合、給与計算に関する法的リスクが高まります。
そこで、企業は海外給与アウトソーシングを利用し、専門家に各国の給与計算を委託することで、法的リスクを低減できます。アウトソーシング業者は各国の法律や規制に詳しく、最新の情報を把握しているため、企業は安心して海外拠点の給与計算を任せることができます。
業務効率の向上
海外給与アウトソーシングを利用することで、企業は業務効率を向上させることができます。特に海外の拠点では少人数で管理を行うことが一般的であり、給与計算を社内で行うことは非効率です。そのためだけに各国で人材を雇うのは採算性が悪く、企業のリソースを有効に活用するためには、可能な限り外部に業務を委託することが重要です。
一方で、単なる計算代行だけではガバナンスの観点から不安が残ります。例えば、エクセルのやり取りで計算結果を受け取り、それを振り込む方法では、多拠点展開している企業にとって管理がバラバラになってしまいます。このような問題を解決するために、欧米企業では各国の給与計算を一括して管理する方法が一般的に採用されています。
具体例として、ある企業がアウトソーシングを利用する前は、各国の法規制の確認や国ごとに異なる評価・給与制度への対応に多くの時間を費やしていました。しかし、アウトソーシングを利用することで、給与計算にかかる時間を大幅に短縮することができました。これにより、企業は他の業務にリソースを集中させることができ、業務全体の効率化を図ることができます。
海外給与アウトソーシング活用の注意点
- 法律遵守の重要性
各国の労働法や税法には、給与計算や雇用条件に関する厳格な規定があります。例えば、欧州連合(EU)の一部では、一般データ保護規則(GDPR)が適用されており、個人データの適切な管理が求められます。これに違反すると、高額な罰金を課される可能性があります。 - 現地事情の理解
各国の文化や労働環境は異なるため、これらを理解せずに業務を進めると、従業員の不満やトラブルが生じる可能性があります。例えば、アジアの一部の国では、祝日や特別手当の扱いが異なるため、これに適切に対応する必要があり、アウトソーシング業者を選定する際には注意する必要があります。 - コミュニケーションの課題
現地のローカルアウトソーシング業者に委託する場合、そのコミュニケーションには、言語や文化の違い、時差などの問題が付随してきます。これを乗り越えるためには、適切なコミュニケーション手段やツール、業者を選択することが重要です。ちなみに、弊社マルチブックが提供する海外給与アウトソーシングサービス「海外クラウド人事部」では日本語はもちろんのこと、英語やその他ローカル言語での対応可能なスタッフが対応することも可能ですので、コミュニケーションの点において、安心してご利用いただけます。
これらの注意点を踏まえて、海外給与アウトソーシングを成功させるためには、適切な業者の選定や準備が重要です。
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具体的な導入ステップ
次に海外給与アウトソーシングを導入する際の具体的なステップを詳しく説明します。
- 現状分析:
現地の給与計算プロセスを詳細に分析する際には、給与計算に関わる全てのステップを把握します。これには、給与明細の作成、給与支払いのためのデータ収集、社会保険や税金の計算、給与関連の帳簿作業などが含まれます。また、使用しているシステムやソフトウェア、現地スタッフの役割なども詳細に調査します。給与決定や昇給・昇格における見直し、給与支払いや給与明細作成と配布等の一連の業務分析をもれなく行うことでアウトソーシングにより効果的な改善を行うことができます。 - 業者選定:
アウトソーシング業者を選定する際には、複数の業者を比較検討します。業者選定の際には、業者の実績や評判、提供されるサービスの範囲、サービス対応国、料金体系などを総合的に評価します。また、現地の言語や法令、規制に適合したサービスを提供できるかどうかも重要なポイントです。 - 契約締結:
業者との契約を締結する際には、業務範囲や責任分担、料金体系、トラブル発生時の対応方法などを明確に定めた契約書を作成します。契約書には、サービス内容や品質基準、機密保持に関する事項なども含まれます。 - 移行計画の策定:
移行計画を策定する際には、具体的なスケジュールや作業内容を詳細に計画します。例えば、現地スタッフの教育やシステムの導入・連携、データの移行方法などを具体的に決定します。これにより、移行作業をスムーズに進めることができます。 - テスト運用:
テスト運用では、実際の給与計算を行い、システムやプロセスに問題がないかを確認します。例えば、給与明細の正確性や支払いのタイムリーさ、データの整合性などを確認します。テスト運用を通じて、問題点を洗い出し、改善を図ります。 - 本格運用:
テスト運用で問題が解決した後、本格的な運用を開始します。運用開始後も定期的なフォローアップを行い、問題が発生した際には迅速に対応します。また、従業員からのフィードバックを収集し、サービスの改善に役立てます。
以上のステップを踏むことで、海外給与アウトソーシングを効果的に導入し、業務の効率化やコスト削減を実現することができます。
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現地の給与計算プロセスを詳細に分析する重要性
詳細な分析の必要性
現地の給与計算プロセスを詳細に分析することは、アウトソーシングの効果を最大化するために重要です。すべてのステップを理解し、業務の効率化と精度向上を図るためには、次の要素を徹底的に調査する必要があります。
分析項目
- 給与明細の作成
- 給与明細の内容とフォーマット
- 各項目の計算方法
- 給与支払いのためのデータ収集
- 労働時間や残業時間のデータ収集方法
- 各種手当や控除のデータ収集方法
- 社会保険や税金の計算
- 各国の法規制に基づく保険料や税金の計算方法
- 最新の法改正への対応方法
- 給与関連の帳簿作業
- 給与支払い後の記録管理
- 帳簿と実際の支払いの照合方法
- 使用しているシステムやソフトウェア
- 現行の給与計算システムやソフトウェアの機能と性能
- システムの導入・運用コスト
- 現地スタッフの役割
- 各ステップにおける現地スタッフの担当業務
- スタッフのスキルや経験
現地プロセスの詳細調査
海外現地の給与計算のアウトソーシングを依頼する際には、以下の点も詳細に調査することが重要です。
- 給与決定のプロセス: 昇給や昇格の基準とその透明性
- 給与支払業務: 給与支払い方法の効率性と安全性
- 給与明細作成と配布: 明細の作成、確認、配布の一連の流れ
この調査により、現地の給与計算における具体的な課題や改善点を明確にできます。例えば、データ収集や計算方法における非効率性を発見し、アウトソーシングによる改善策を講じることが可能です。
効果的な改善点の特定
詳細なプロセス分析により、以下のような効果的な改善点を特定できます。
- システムの自動化: 手動プロセスを自動化することで、エラーの減少と作業時間の短縮を実現。
- データ収集の効率化: 効率的なデータ収集方法を導入し、現地スタッフの負担を軽減。
- 法規制対応の強化: 各国の法規制に迅速かつ正確に対応する仕組みを構築。
ガバナンスと統一管理の強化
単なる計算代行ではなく、包括的な管理が必要です。特にエクセルでのやり取りによる計算結果の受け取りと振込は、不安定で多拠点展開企業には適しません。欧米企業では、各国の給与計算をまとめて管理する方法が一般的です。これにより、バラバラな管理から統一的で効率的な管理に移行できます。
海外給与アウトソーシング導入事例
- ソフトウェア企業の人事管理効率化事例:
- 会社情報:
ソフトウェア企業、従業員数50-200名 - 課題:
7カ国に拠点を構える本企業は、グローバルでの雇用と管理において、各国現地の法律や規制遵守などの面で課題を抱えていました。 - 成果:
グローバル全体でオンボーディングから給与計算まで、従業員のライフサイクル管理全体をアウトソーシングすることで、現地の法規制に従って効率的に管理ができるようになりました。それにより、人事管理の月間作業時間を80時間以上削減しています。また、アウトソーシングサービスに含まれるレポート機能を活用することで従業員全体のデータを簡単に分析することができ、迅速且つより正確な意思決定ができるようになりました。
- 会社情報:
- ボストンコンサルティンググループの給与計算システム・プロセス統一事例:
- 会社情報:
ボストン コンサルティング グループ、アジアパシフィック地域、従業員数2,000名 - 課題:6カ国で異なる4つの給与計算ベンダーを利用していましたがそれぞれに言語の壁や技術的な制限などで煩雑且つ非効率なやりとりが多く発生し、給与計算業務のスムーズな運営を阻害していました。
- 成果:
各拠点の給与計算システムを統一し、給与計算プロセスを標準化することで業務の効率性と一貫性が高まりました。アウトソーシングを通して技術的な支援や人事に関するアドバイス、各国の法的な最新情報を含んだサポートを受けることができるため業務の質も高まりました。
- 会社情報:
これらの特徴を活かすことで、企業は人事管理の効率化や給与計算の一元化を実現し、グローバル展開における課題を克服できます。
マルチブックの海外給与アウトソーシングサービス『クラウド人事部』の紹介
最後に、弊社マルチブックが提供する海外人事・給与アウトソーシングサービス『海外クラウド人事部』を紹介させてください。
海外クラウド人事部は、 multibookとdeel Inc.が共同で提供する、本社から海外拠点の人事・給与業務を横串で代行するアウトソーシングサービスです。人事システム(HRIS)とグローバル給与計算代行(BPO)を1プラットフォームのシェアードサービスとして提供し、グローバル人事給与業務を統合します。国ごとに異なる労働法制、税制、通貨の違いを越えてグローバル全体の給与計算を代行するため海外拠点を有する企業様にも安心してご利用いただけます。
そんな海外クラウド人事部は大きく分けて以下の3つのようなソリューションを提供しています。
1.共通システムを通した人事給与BPOと情報管理
世界のHR専門家が各国の人事給与業務を代行し、その情報を共通の1システムで管理することが可能です。システムは世界100カ国以上の人事給与業務に対応しているため、国をまたぎグローバルでの人事管理・給与計算を一気通貫で行います。
2.最新の各国人事給与関連情報を網羅したグローバルガバナンス強化
グローバルでの組織図や従業員情報、各国の最新コンプライアンス情報などが共通システム上で一目で把握できるようになります。また労働条件をシステム入力する際には最低賃金、労働時間といった国ごとに異なる労働条件が自動で反映され、コンプライアンス違反のリスクを防ぎます。
3.柔軟にカスタマイズが可能な人事給与関連レポート作成
グローバル全体の社員数や人件費、給与平均など、お客様のご要望に沿った人事給与関連情報のレポートを作成することが可能です。
そのほかにも、各国の給与計算、源泉徴収、法定福利、年末調整、ペイスリップ、対象国における税金や社会保障の申告と納付といった業務の代行にも対応しております。海外拠点のHR人材不足や人事の課題でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
まとめ
海外給与アウトソーシングは、企業が海外拠点の給与業務を外部専門業者に委託することで、コスト削減や業務効率の向上などのメリットを享受できる一方、法律遵守や現地事情の理解といった注意点も存在します。海外給与アウトソーシングを成功させるためには、適切な業者の選定や準備が重要です。マルチブックのクラウド人事部は、100カ国以上の法規制や税制、福利厚生までカバーする一体型プラットフォームであり、海外拠点の人事給与業務を一括代行し、安心のシェアードサービスを提供しています。
海外拠点の人事・給与計算業務に課題を抱えている方、HR人材不足でアウトソーシングをご検討の方は、ぜひ一度、『海外クラウド人事部』をご検討ください。