【3分コラム】外国人材の雇用ってどのくらい大変?〈雇用後編〉

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記事更新日:2020/12/22

【3分コラム】外国人材の雇用ってどのくらい大変?〈雇用後編〉

こんにちは。マルチブック編集部です。

前回の記事では、外国人材を採用するまでの流れを解説しました。(まだ読んでいない方はこちらからどうぞ!)

【3分コラム】外国人材の雇用ってどのくらい大変?〈雇用前編〉 | multibook(マルチブック)

しかし、実際に外国人材を採用した後も様々な懸念点があることでしょう。今回は、外国人材を採用した後、どのようなことに気を付けるべきなのかということについて記していきます!

ここで挙げたい外国人材入社後の主な注意点は3つです。

企業文化の違い

 外国人材を雇う上では、こちらの文化を一方的に押し付けるのではなく相手の国の文化や風習への理解を示すことが大切です。株式会社ディスコの「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査<2017 年 12 月調査> 」によると、外国人社員の退職理由の1つとしても「日本の企業文化が合わなかったため」というのが多く挙げられています。
 実際、先日行った斉さんのインタビューでも、「中国人は、面子を気にする。」ということを仰っていました。例えば、終身雇用の文化が根付いていない外国人社員の方に対して人前で叱るようなことがあれば、日本人社員以上に早く会社を辞めてしまう可能性は高いともいえます。また、宗教に対する配慮も必要です。食事や礼拝等、社員の文化・習慣に理解と尊重を示すことも、長期的に優秀な外国人材を確保していくためには、大切なことでしょう。

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出典:株式会社ディスコ「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査<2017 年 12 月調査> 」

言語の壁 

 「外国人社員の退職理由」と「外国人社員の活用に向けた課題」共に、日本語でのコミュニケーションが困難なことが多く挙げられています。国も違えば言語も違います。また、英語が苦手な人が多い日本で、学ぶのが難しいといわれる日本語を使ってビジネスを進めていくのは非常に困難でしょう。そのため、企業は外国人材が日本語を学びやすくするサポート体制を整える一方で、社内でのコミュニケーションを円滑化するためにも日本人社員の英語力強化への支援や語学に堪能なグローバル人材の採用を積極的に進めていく必要があるといえます。

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出典:株式会社ディスコ「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査<2017 年 12 月調査> 」

外国人材の労務管理 

 外国人の方を採用し入社した後は、政府の指針に基づき、適切な雇用管理を行う必要があります。ここでは、外国人の雇用管理に関する重要なポイントをまとめていきます。

①ハローワークへの届出
 事業主は、外国人労働者の雇用や離職にあたり、氏名や在留資格等についてハローワークに届け出る義務があります。
 以下は、厚生労働省の出した「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)」から抜粋したものです。

(外国人雇用状況の届出等)
第二十八条 事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格(出入国管理及び難民認定法第二条の二第一項に規定する在留資格をいう。次項において同じ。)、在留期間(同条第三項に規定する在留期間をいう。)その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 届出の対象は、日本の国籍を有しない方で在留資格「外交」、「公用」及び「特別永住者」以外の方とされています。
 また、外国人が雇用保険の被保険者となる場合は雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワークに、外国人が雇用保険の被保険者とならない場合は外国人が勤務する事業所施設(支店、店舗、工場など)の住所を管轄するハローワークに直接またはウェブ上で届出を行ってください。

②適切な人事管理と就労環境の整備
 これは事業主の努力義務とされています。厚生労働省の発表した「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針 」に基づいた外国人の雇用管理が求められます。
 主な指針は以下の通りです。

・国籍による差別のない環境
採用選考や給与等の労働条件における国籍による差別は禁止されています。また、労働基準法や健康保険法などの労働関係法令及び社会保険関係法令も、国籍を問わず外国人に適用されます。

・適切な人事管理
 労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主な労働条件について外国人が理解できる形で書面等で明示することが必要です。さらに、職場で求められる資質、能力等の社員像の明確化、評価・賃金の決定、配置等の運用の透明性・公正性を確保し、環境の整備に努めることが求められます。

・解雇等の予防及び再就職援助について
 労働契約法に基づき、解雇や雇止めが認められない場合があります。もし、やむを得ず解雇等を行う場合には、再就職希望者に対して在留資格に応じた再就職の援助に努めましょう。留意点として、業務上の負傷や疾病の療養期間中の解雇や、妊娠や出産等を理由とした解雇は禁止されています。

・雇用労務責任者の選任
 外国人労働者を10人以上雇用する際は、適切な雇用管理を行うために人事課長等を雇用労務責任者として専任することが求められています。

最後まで読んでくださりありがとうございました!
近年活発化する外国人材採用に関して、募集から採用後の人材定着までのステップや注意点を解説してきました。外国人材を採用することは、ゴールではなく、手段にすぎません。社内のグローバル化を適切に進め、国籍の垣根を超えた協働を促進することを通じて、企業としてのパフォーマンスを向上させていきましょう。

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〈参考文献〉
株式会社ディスコ「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査<2017 年 12 月調査> 」
厚生労働省HP

この記事を書いた人

マルチブック編集部

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