表計算ソフトによる管理から脱却し、海外拠点の月次決算を最大3営業日短縮!multibook「見える化プラン」導入で、業務効率化と内部統制強化を同時に実現

創業90年以上の歴史を持つ商社、株式会社明成商会。「顧客に信頼され、存在感のある上質なサービスを行い、透明性の高い健全な経営を通じ社会に貢献する」を経営理念に掲げ、化学品、エレクトロニクス・ソリューション、海外事業、そして設計・施工まで対応する環境関連事業の取り組みを通じ、時代や顧客のニーズに合わせてフレキシブルに商材の幅を広げながら事業を拡大してきました。
香港、上海、マレーシア、タイ、インド、ベトナムに海外拠点を展開する同社では、海外拠点の会計管理の効率化を図るべく、グローバルクラウドERP『multibook』の「見える化プラン*」を導入。本社経理部門の業務負担軽減や内部統制強化を実現しました。今回は同社 経営管理部より、 人事・総務課と財務・経理課 のご担当者様に、multibook導入の経緯から活用効果、今後の展望まで詳しくお話を伺いました。
*見える化:海外拠点で使用する会計システムから仕訳データをmultibookに取り込み、日本本社の勘定科目体系に自動変換します。これにより、本社は現地拠点の経営状況を簡単かつ透明性高く、指定の形式で確認でき、現地システムを変更せずに海外拠点管理を効率化できます。
導入前の課題
- 海外子会社から月次のPLや資産状況などが表計算ソフトで作成したファイルで共有され、本社経理は12ファイル分の内容を一つひとつ確認・集計する必要があった。
- 表計算ソフトでの管理では人的な操作ミスが発生してしまうケースがあった。
- 月次決算業務や経営層への報告資料作成をさらに効率化したいと考えていた。
multibookを選んだ理由
- 海外拠点の月次決算や月次業績報告を効率化できるサービスだった。
- 「見える化」は大規模システムを導入せずとも適正価格で同社のニーズを満たせるプランだった。
- 海外拠点は既存のERPシステムをそのまま使用でき、データ閲覧・活用部分のみをmultibookが担うローカルERPとの連携型運用モデルが合理的だった。
導入後の効果
- 月次決算や経営層への報告資料作成にかかる時間を最大3営業日短縮できた。
- 人為的ミスが発生しにくい仕組みとなり、海外拠点の会計管理を標準化することができた。
- 現地の会計管理が透明化され、内部統制面でも大きなメリットがあった。
表計算ソフトによる管理の限界と効率化への模索
まず、御社の事業内容について教えてください。
財務・経理課担当:明成商会は合成樹脂や合成繊維をはじめ医薬・農薬、製紙、塗料・インキなど多様な用途に使われる化学製品や電子材料などの商社として90年以上の歴史を持つ会社です。
化学品、エレクトロニクス・ソリューション、海外事業に加え2019年からは環境事業部を立ち上げ、脱炭素・SDGs・ESG をふまえた新分野の開拓にも力を注いでいます。東京に本社を置き、国内では大阪、名古屋、秋田、静岡、福岡に、海外では香港、上海、マレーシア、タイ、インド、ベトナムに拠点があります。
multibook導入前は、海外拠点の会計管理においてどのような課題を抱えていたのでしょうか。
財務・経理課担当:毎月、海外子会社から月次のPLや資産状況を共有してもらうのですが、ずっと表計算ソフトで作成したファイルでやり取りを続けていました。月次決算業務では12ファイル分あり、それらの内容を一つひとつ確認し、集計する業務が発生していました。手作業によるファイル管理では人的な操作ミスも生じますし、やはり効率的ではないと考えていました。システム化によって改善できる部分があるのではないかと模索していました。
人事・総務課担当:私はシステム担当として直接的な課題を抱えていたわけではありませんが、状況を見聞きし、海外とのやり取りに非効率な部分があるなと感じていました。海外の各種報告資料を作成する際、現地から提出されたファイルを確認しながら集計作業を進めていく中で、ファイルの備考欄にメモが残されていたり、データが手直しされていたりするケースがあれば、「これは何だろう?」と現地に確認する必要があります。データを直接見ることができれば、もっと業務負担を減らせるのではないかと考えていました。

電車広告との偶然の出会いが導入のきっかけに
multibookを知ったきっかけを教えてください。
人事・総務課担当:最初にmultibookを知ったのは、電車の中吊り広告を見たのがきっかけでした。「海外拠点の経営情報がリアルタイムによくわかる」という広告内容で、これは当社のバックオフィスが抱えている課題を解決できるツールかもしれないと思いました。そこで問い合わせをして、話を聞かせてもらいました。
他社と比較検討はされましたか?
人事・総務課担当:いいえ。当時、multibookのような製品はあまりなかったと記憶しています。類似製品はあったのかもしれませんが、検討するまでには至りませんでした。「日本本社からの海外拠点管理をターゲットにしている」というところも、当社の事情にフィットしていましたから。
導入の決め手となったポイントは何でしたか?
財務・経理課担当:当社の課題だった「海外拠点の月次決算や月次業績報告の効率化」を実現できるサービスである点が大きかったです。大規模システムを導入せずとも、現実的な価格で、私たちのニーズを満たしていたことが決め手になりました。
人事・総務課担当:私としては、システム設計や専用コンピューターの設置といった直接的な作業コストがかからないSaaSという形態であった点も大変助かりました。また、海外拠点は現地の会計基準に合った既存のERPシステムをそのまま使用でき、本社でデータを閲覧したり活用したりする部分のみをmultibookが担うというローカルERPとの連携型運用モデルが非常に合理的だと感じました。
月次作業の大幅効率化と内部統制の強化を実現
現在、どのようにmultibookをご活用いただいていますか?
財務・経理課担当:私たちが利用しているのは、multibookの「見える化プラン」です。これまで月次の決算業務や経営層への報告資料の作成は、海外拠点から集めた表計算ファイルを取りまとめ、集計作業を行っていました。しかしmultibookの「見える化プラン」を利用することで、12ファイル分を一元管理できるようになりました。
現地の科目体系のままmultibookへと仕訳連携でき、本社が使用する勘定科目に自動変換できますから、現地担当者の負担もかかりません。私たちもボタン一つ二つ押すだけで必要なデータを閲覧したり、出力したりできるようになり、業務効率が大幅にあがりました。
どんなところに「見える化」の良さを感じていますか。また、定量的な成果も出ていますでしょうか。
財務・経理課担当:はい。multibook利用前と比較して、月次決算や経営層への報告資料作成にかかる時間を最大で3営業日ほど短縮できるようになりました。表計算ソフトのファイルでのやり取りだと、誤って関数を変更・削除してしまうといったことがどうしても発生していたのですが、そういった人為的ミスも減りました。海外拠点のデータ管理を定型的な作業に落とし込めるようになり、自動化・標準化されたのが大きな変化ですね。
人事・総務課担当:加えて、内部統制面においても大きなメリットがあったと感じています。仕訳データをドリルダウンして一つひとつ見られるようになり、現地の会計管理が透明化されました。また本社側で現地の数値をいつでも確認することができる状態をつくることはガバナンス上大きな意味があり、海外拠点における取引の詳細を把握しやすくなって、数値処理に関するさまざまなリスクを軽減することができたと考えております。
財務・経理課担当:multibookでデータを正常に出力するためには、当然ながら、そもそものローカルの会計システムを使った経理業務をきちんとまわす必要があります。月次で仕訳データをmultibookへアップロードするというフローができたことで、それぞれの海外拠点にあったローカルルールのようなものを標準化できた点も良かったです。とくに海外拠点はベテランの担当者が独自のやり方で進めているケースもあるので、あえてmultibookという枠を設けることで統一化されたと感じています。
また、以前であれば、現地監査が必要な場合、現地に行って資産台帳の原本を入手する必要がありましたが、今はクラウド上で確認できます。これもありがたい点ですね。

全拠点統一管理の実現と更なる活用への期待
マルチブック担当者のサポートについてはいかがですか?
財務・経理課担当:臨機応変に対応していただいています。ユーザーの意見を聞いてサービスを改善していこうとする姿勢を感じますし、私たちの意見に対しても真摯に対応いただいていて助かっています。
導入のスピード感やサポートについては、どんな印象をお持ちでしょうか。
財務・経理課担当:最初に導入した拠点では、導入期間は2〜3カ月でした。経理は月末月初に業務が集中しやすいのですが、マルチブックの導入担当の方がそういった事情も考慮して、現地の様子を見ながら進めてくださったおかげで、スケジュール的にも過不足なく完了できました。
人事・総務課担当:マルチブック主導で動いていただけたので私たちも進めやすかったです。キックオフもしっかり行い、多言語対応についても経験に基づいた提案がありました。当社の状況を鑑みてサポートしてくださり、安心感がありました。
財務・経理課担当:既に3拠点でmultibookを稼働させ、今はマレーシア拠点に導入しているところです。なかには日本本社を介さずに、現地スタッフとマルチブックのスタッフのやり取りのみで導入を完了させたケースもあります。非常にスムーズに進めていただきました。
現在はタイ拠点への導入を検討されているそうですね。
財務・経理課担当:はい、タイ拠点にmultibookを導入すれば、計画中の海外拠点すべて「見える化対応」できることになります。すべての海外拠点の情報をmultibookで見られるようになれば、月次会議などの場でもPDFの資料を別途用意することなく、リアルタイムにmultibookを見ながら議論できるようになります。そうすれば、会議の景色もずいぶん変わりますよね。一旦、見える化については、そこがゴールになりそうだなと思っています。
本日は貴重なお話をありがとうございます。最後に、今後の展望やmultibookに期待することについてお聞かせください。
財務・経理課担当:見える化で取り込んだ現地の仕訳データを、経営に必要な情報の切り口で表示できるmultibookの経営ダッシュボードツール『マネジメントコックピット』では様々なデータを出力できますが、まだ私たちも100%活用できているとは言い切れません。そのため、活用講座やユーザー同士の交流会のようなものを積極的に開いてほしいと期待しています。他社の活用事例を聞いて、より効果的な使い方を模索していきたいです。

人事・総務課担当:他企業が何に困っているかや、どのように活用しているか、ぜひ知りたいですね。
弊社におけるマルチブックの導入は、経営管理部だけでなく、日本国内の海外事業部担当者、各海外拠点の責任者および経理担当者、さらには経営層のご協力により、ここまで達成することができました。 multibookを導入したことでデータを蓄積し、簡単に出力することができるようになりましたので、今度は、これらのデータをいかに活用していくかというフェーズに入りたいと考えています。

[取材に対応いただいた方]
株式会社明成商会 経営管理部 人事・総務課ご担当者様
財務・経理課ご担当者様
[取材・文]
猪俣 奈央子
お客様概要

- 会社名
- 株式会社明成商会
- 事業内容
- 化学品、エレクトロニクス・ソリューション、海外事業、環境関連の商社