少ないリース資産件数でも効果絶大!IFRS16号対応のmultibookでリース資産管理業務の工数を約9割削減

[写真左より]株式会社カカクコム コーポレート本部 財務経理部 浅井 賢司氏、同部 佐藤 昂氏
購買支援サイト「価格.com」、レストラン検索・予約サービス「食べログ」、求人情報の一括検索サービス「求人ボックス」など、幅広い領域でサービスを展開する株式会社カカクコム。 同社が直面していたのは、IFRS16号リース資産の管理における課題でした。資産件数こそ比較的少ないものの、表計算ソフトによる手作業での管理は想像以上に煩雑、年を追うごとに複雑さを増し、担当者の負担は増大の一途をたどっていました。この状況を打開すべく、システム刷新の検討を進めた結果、IFRS16号に完全対応のmultibookの導入を決定しました。その効果は劇的でした。四半期決算時のIFRS16号リース資産関連業務は、なんと180分から10分へと大幅に短縮。さらに、従来の属人的な管理から脱却し、経営戦略や資産運用などの観点でも大いに活用できるリアルタイム性・網羅性・粒度を備えることに成功。業務の効率化と品質向上の両立を見事に実現しました。
本日はその成果を同社コーポレート本部 財務経理部部長 布川 綾子氏、同部 浅井 賢司氏、同部 佐藤 昂氏に伺いました。
導入前の課題
- IFRS16号リース資産を表計算ソフトで管理していたが、年々煩雑になり、メンテナンスや内容確認で四半期ごとに合計70~80時間もの多大な工数がかかっていた。
- 表計算ファイルは複雑な数式の多用で属人化し、作成者本人以外には分かりづらかった。
- 誤りがない状態とすることに加え、経営判断の材料として有用な水準のリアルタイム性・網羅性・粒度を確保するには、手作業では負担が多すぎた。
multibookを選んだ理由
- IFRS16号に完全対応しており、導入すれば日常業務の労力を軽減できると期待できた。
- 投資対効果を考える上で、3名で使うツールとして予算感が合う、唯一のIFRS16号対応のシステムだった。
- 短期導入が可能で、スムーズな稼働を見込めた。
導入後の効果
- 四半期決算時、IFRS16号リース資産に関する業務量が180分から10分へと約94%も削減。
- 表計算ソフトから脱却し、管理の属人化を解消。
- 経営戦略や資産運用などの観点で有用なレベルでの情報のリアルタイム性・網羅性・粒度を実現し、より透明性の高い経営を実現。
購買支援サイト「価格.com」を始め、消費者の日常生活を豊かにする情報を提供
―― 貴社の事業内容についてお聞かせください。

浅井:当社は、1997年設立のインターネットサービス企業です。祖業である購買支援サイト「価格.com」は、家電製品、パソコン、カメラ、自動車、保険など、さまざまな製品やサービスの情報を提供し、買いものにおいて最適な選択をするお手伝いをしています。このほかにも、レストラン検索・予約サービス「食べログ」や求人情報の一括検索サービス「求人ボックス」など多岐にわたるサービスを展開し、消費者の日常生活を豊かにする情報を提供し続けています。当社は、東京証券取引所プライム市場に上場しており、透明性の高い経営を行うことにも注力しています。
表計算ソフトでの管理に限界を感じ、multibookを導入
―― 今回、「multibook IFRS16号リース資産管理」を導入いただきました。その経緯を教えてください。
佐藤:これまではIFRS16号リース資産を表計算ソフトで管理していました。対象資産はすべて不動産で、少ないリース件数でも、表計算ファイルの中身が非常に複雑化してしまっていました。1つのブック内に複数の関数を含んだシートが50~60存在し、それらをすべて活用しないことには四半期ごとの決算業務が行えません。また、データのメンテナンスを行いながらのため、1資産当たり私の作業で60分、チェックする浅井の作業で20分はかかっていました。決算期には多忙を極め、効率化が急務だったのです。
また、実質的な担当者は私1名のみだったため、ファイル内容が属人化しやすいことも課題でした。

浅井:IFRS16号適用当初は問題ありませんでした。資産件数も少ないためシンプルに管理できていました。しかし、年度を経るごとにデータ更新と関数修正がどんどん煩雑になっていき、これがまた遡及修正であるため、1つのデータ変更が、前期へ前期へと過去にさかのぼる必要があり、非常に手間がかかりました。
布川:私は財務経理部の部長として、佐藤や浅井が決算作業の中で作成する表計算ファイルをチェックしていました。表計算ソフトだけでは軽微な間違いが発生しやすくなります。複雑化した表計算ファイルの表は担当者だけでなく確認者にとっても確認に時間がかかり、高い精度を保つために多大な労力が必要となっていました。
当社のリース資産の件数は少ないものの、財務諸表に与える金額的インパクトが大きいため、経営層から誤りのない管理は当然のことながら、経営戦略や資産運用などの観点で有用なレベルでの情報のリアルタイム性や網羅性、粒度についても、同時に求められていました。また、表計算ソフトから脱却したいと思い以前からツールを探していましたが、ツールを必要とするのは3人のため、ある程度ライトなものでないと数百万円単位の高額なシステムでは投資対効果が見合わないと考えていました。
―― multibookを選んだ決め手は何でしょうか。
佐藤: IFRS16号リース資産管理ができて、予算感の合う製品・サービスという観点でインターネットを通じて探していたところ、候補が2つ見つかりました。しかし、話をよく聞いてみると、そのうちの1社はIFRS16号に対応できないことがわかりました。唯一対応可能だったのがmultibookだったのです。
選んだ決め手は、IFRS16号に完全に対応していて、導入すれば日頃の労務が軽減できることが見込めたことと、予算感が合い、短期間での導入が期待できたことです。結果、2024年5月に導入を正式決定しました。
―― 導入プロセスはいかがでしたか。
佐藤:マルチブック社が2024年6月~8月の2カ月で導入するスケジュールを計画し、マスター整備、データ移行を概ね予定通りに進行できました。当社はテレワークも可能で、私たちは月に3~4回の出社だったため、基本はオンライン会議で対応をお願いしました。課題管理シートでやり取りを行い、必要に応じてミーティングを開催するなど、プロジェクトは非常にスムーズに進みました。マルチブック社の対応は非常に柔軟で、カスタマーサポートのレスポンスも素早かった点がありがたかったです。
四半期決算時、IFRS16号リース資産に関する業務量が180分から10分に短縮
―― 予定どおり2024年8月末から利用をスタートされました。リース資産管理の負荷は軽減されましたか。

佐藤:現在はボタン1つでmultibookが自動計算し、必要な情報を更新してくれるため、四半期決算業務の負荷は激減しました。毎四半期、データ更新が必要な資産が3件ほどあり、1資産当たりのメンテナンスに60分必要なため、合計180分かかっていました。それが3資産で10分になりました。これによって、財務の本質的な業務に専念できるようになりました。IFRS16号の基準に基づくリース資産管理は、最初は容易でも次第に複雑化していきます。たとえ件数が少なくてもシステム化を図った方がいいです。システム化することで、管理の属人化を解消することもできます。個人的には、ここにBIツールが加わるとなお嬉しいですね。せっかくmultibook上でデータ管理できるようになったので、リース資産管理の高度化を図っていきたいです。
浅井:表計算ソフト管理のときは、データのみならず、膨大な関数の計算ロジックが合っているかどうかも調べる必要があり、確認に時間がかかりがちでした。今は、初期データ入力後は、multibookが精度高く計算してくれるため、上層部への報告のタイミングも早くなりました。
また、会計監査対応の際も今までは表計算ファイルを提出しており、前述の通り関数が多く複雑な作りのため、監査法人から見方についてお問い合わせをいただくことが多かったのですが、multibookを導入してからは必要な情報を綺麗に整備された状態でダウンロードしてそのまま渡せるようになったので、監査用の表計算ファイルの作成も不要になり、監査法人からのお問い合わせもなくなりました。
布川:私は管理の水準が向上したことに安堵しています。会計分野は、会計自体や固定資産の管理に関しては製品・サービスがたくさんあり、制度改定にも対応しているのに、なぜかリースになるととたんに見当たらなくなります。表計算ソフトで制度改定の受け入れをしなくてはならないというのはとても大変で、手間が掛かる作業だと思っていました。監査法人に相談しても「皆さん、表計算ソフトでやっておられますよ」と言われ、そういうものなのかと思うしかありませんでしたが、multibookを導入し、おかげで長年の苦労から解放されました。
今後は、2027年4月に強制適用となる新リース会計基準に備えていきます。あと2年半ほど時間があるため、それまでにmultibookで得た知見を活かし、子会社にも対象資産登録を依頼するなど体制を整えていきたいと考えています。時期が来たらしっかり展開し、スムーズな日本の新リース基準対応を実現したいです。
[取材に対応いただいた方々]
株式会社カカクコム コーポレート本部 財務経理部 部長 布川 綾子氏
株式会社カカクコム コーポレート本部 財務経理部 マネージャー 浅井 賢司氏
株式会社カカクコム コーポレート本部 財務経理部 佐藤 昂氏