「新リース会計基準にも対応!日本の国際会計基準化を先導するマルチブックの挑戦と未来への展望」

新リース会計基準

記事更新日:2025/02/03

「新リース会計基準にも対応!日本の国際会計基準化を先導するマルチブックの挑戦と未来への展望」

2024年9月に公表された新リース会計基準では、原則全てのリース契約についてオンバランス計上が義務付けられ、リース会計処理の前提が大きく変わります。日本の会計基準が大きく変更となり、国際会計であるIFRSへと大きく近づく形となります。

2027年4月以降に始まる事業年度から上場企業を対象に強制適用が始まり、企業では適用に向けた取り組みへの検討が開始されています。

しかし、その一方で、何から始めればいいのか、どのようにシステム選定を行えばいいのか困惑をしている経理担当者の方も多いのではないでしょうか?

マルチブックでは、IFRS16号に対応したグローバルクラウドERP「multibook」を提供しており、日本の新リース会計基準にも対応し、お客様のリース資産管理を支援しています。

本記事では、実際にIFRS16号リース資産管理の導入を手がけた社員のインタビューを通じて、その具体的なプロセスや、新リース会計基準導入の成功の秘訣をご紹介します。

新基準対応における課題解決のヒントを得たい方、導入プロセスの詳細を知りたい方はぜひご一読ください。IFRS16号対応の最前線で得られた実務的なノウハウを3回シリーズでお届けします。ぜひご覧ください。

第1回「新リース会計基準にも対応!日本の国際会計基準化を先導するマルチブックの挑戦と未来への展望」

新リース会計基準の強制適用が迫る中、多くの企業がその影響に備えています。

当社では、新基準対応に向けてリースソリューションの提供を強化しており、現場では社員たちが一丸となって活動しています。本記事では、IFRS16号/新リースソリューション推進部を率いる田村さんにインタビューを行い、新基準対応における今後のトレンドや、マルチブックの取り組みを伺いました。

田村さんのキャリアと現在の役割

Q. これまでのキャリアと現在の役割について教えてください。

田村さん(以下、田村):大学在学中に公認会計士の試験に合格し、その後、新卒でSAPコンサルタントとしてキャリアをスタートしました。会計全般や管理会計、固定資産といった領域に携わり、20年以上にわたりSAPの会計領域に関わってきました。現在は、マルチブックでSD(サービスデリバリ)部門を統括し、IFRS16号リース資産管理に対応したグローバルクラウドERP「multibook」の導入と、そのシステムを活用したBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を含めたプロジェクトを担当しています。また、新リース会計基準に対応する今後の需要が高まることを見込み、機能やサービスの整備により一層力を入れるべく、IFRS16号/新リースソリューション推進部を設立し、企業の新基準対応を支援するプロジェクトを指揮しています。

新リース会計基準とは?

Q. 新リース会計基準は、これまでと何が違うのでしょうか?

田村:リースに関する日本の会計基準が国際会計基準(IFRS)に近づくという点が大きな変化です。会計処理の方法が根本的に変わります。これまでは、リース費用をオフバランス計上することで簡単に処理できていましたが、新基準では貸借対照表(BS)に原則的に全てのリース契約をオンバランス計上する必要があります。

これにより、リース資産の取得と減価償却、リース負債の返済と利息計上、契約期間の見積もり、そして条件変更時の再測定といった一連のプロセスを経理部門が正確に処理する必要があります。また、リース契約の範囲も拡大され、「実質的にリースとみなされる取引」も対象となります。たとえば、オフィス賃貸や会議室の利用契約、さらには一部のサブスクリプション契約もリースとして扱われる可能性があります。

Q. 新基準への改正は、企業にどのような影響を与えると考えていますか?

田村:最大の影響は、会計処理の複雑化です。経理部門の業務量が大幅に増加するだけでなく、新しい計算ロジックを正確に理解し、継続的に適用する必要があります。また、リース契約内容の洗い出しや分類を適切に行うことも求められ、全社的に影響があります。これまで日本では例外的に認められていた処理方法も廃止されるため、多くの企業が新基準に順応するためのシステムやプロセスを整備する必要に迫られています。

Q. 今後、企業の動きとしてどのようなトレンドが予想されますか?

田村:基準の強制適用が始まる2027年に向け、今後多くの企業が一斉に対応を始めると予想しています。現時点では、まだ情報収集の段階である企業が多いと思われますが、新基準の強制適用まで2年強あるとは言え、導入までに必要なステップがとても多く、時間的な余裕は実はあまりないという感覚を持たれる企業が多いのではないでしょうか。リース資産の洗い出しや契約分類が進む中で、経理部門の負担が一気に増加する可能性があります。早めに準備を進めることで、将来的な業務負担を軽減することが重要です。

マルチブックの新リース会計基準対応について

Q. マルチブックは、新リース会計基準にどのように対応していますか?

田村:マルチブックでは、新基準対応のためリース管理機能を大幅に強化しています。数多くの機能追加を予定しており、現在も開発チームと連携しながら改良を進めています。IFRS16号対応の実績を活かし、顧客からのフィードバックを反映させた「使いやすく、シンプルで高速な」システムを目指しています。また、単体ベースと連結ベースの両方で新基準に対応できるシステムを提供し、複雑なリース契約に伴う仕訳作成や注記情報作成などの処理負担を軽減することに注力しています。

Q. 新基準対応において、最大のチャレンジは何ですか?

田村:新基準に対応するために単体向け仕訳作成機能を強化するとともに、multibook以外の会計システムをお使いの企業向けに仕訳連携機能も実装します。また、新基準対応にとどまらず、リース管理機能全体の大幅な強化も並行して行います。今まで以上に多種多様なリース契約パターンに柔軟に対応できるようになり、機能としても多数が追加になります。開発範囲が広くかつ複雑になるので、プロジェクトとして難度の高いものになりますが、ご期待に沿えるシステムを提供できるようにチーム一丸でしっかりと取り組んでおります。他にも、社内では導入・保守サポートチームはもとよりBPOチームも含めた勉強会を定期的に実施し、全員が新基準に対する深い理解を持つよう努めています。これにより、システム開発だけでなく、顧客サポートにおいても高品質なサービスを提供できる体制を整えています。

Q. 「multibook」の強みは何でしょうか?

田村:「multibook」のリースソリューションは、「軽快な動作」「シンプルで使いやすいユーザーインターフェース」「多言語・多通貨対応」の3点が強みです。さらに、導入時だけでなく運用後も迅速かつ丁寧なサポートを提供している点も、お客様から評価をいただいています。また、今までIFRS16号に対応したシステムを提供している中で、実際に使用いただいたお客様からのフィードバックを積極的にシステムに取り込んでいますので、新会計基準においてもより実務に対応したサービスが提供できると考えております。

今後の展望とメッセージ

Q. 最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田村:新リース会計基準への対応は、多くの企業にとって挑戦となります。しかし、国際的な基準へと合わせていくことは、海外の投資家へのアピールなど、企業にとってチャンスにもつながります。実際の業務については、適切なツールやサポートを活用することで、経理担当者の負担を大幅に軽減することが可能です。マルチブックはシステム提供だけでなく、信頼できるパートナーとして皆様をサポートしていきます。一緒にこの変革を乗り越えていきましょう!

田村 創一(たむら そういち)

執行役員/CXO IFRS16号/新リースソリューション推進部 部長

慶應義塾大学経済学部卒。在学中に公認会計士二次試験合格。卒業後、大手生命保険情報システム会社に入社し、SAP導入プロジェクトに従事。2002年、マルチブック(旧社名:ティーディー・アンド・カンパニー)に入社後も一貫してSAPシステムコンサルティング事業に携わりつつ、取締役CFO、取締役業務推進担当などを歴任。「multibook」事業立ち上げや設計にも関与する。2021年7月、SAPシステムコンサルティング事業のキャップジェミニ社への移転に伴い移籍。2023年4月マルチブックに舞い戻り、サービスデリバリ部門統括責任者に就任。25年以上の会計・ERP経験を有する。

この記事を書いた人

マルチブック編集部

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