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FP&Aの役割とCFOやコントローラーを支え企業戦略を成功させる秘訣

FP&A

記事更新日:2023/10/24

FP&Aの役割とCFOやコントローラーを支え企業戦略を成功させる秘訣

FP&Aの基本的な役割とは

FP&A(Financial Planning & Analysis)、日本語では財務戦略と分析、その基本的な役割とは何かと言うと、企業の経営状況や財務状態を専門的に分析し、将来のビジネス計画や戦略立案を支えるというものです。具体的には、予算作成、財務予測、業績分析、事業計画立案支援などがあります。

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FP&Aの重要な業務内容

FP&Aの重要な業務の一つが予算作成です。これは、企業の収益や費用、資本投資などの予想を行い、一定期間の財務計画を立てる業務となります。また、財務予測も重要な業務の一つで、予算と実績の差異を分析し、精度の高い予測を行うことで、経営陣への適切な意思決定支援を行います。

さらに、業績分析も重要な業務内容です。これは、利益性、売上、コスト、市場状況等を分析し、どの事業がどれくらいの利益を生み出し、何が成功の要因・失敗の原因であるかを解明し、事業計画の改善策を提案します。

FP&Aが果たす企業内の立場

FP&Aが果たす企業内の立場とは、経営陣に対して経営戦略や事業計画立案のための財務データを提供するアドバイザー的な存在でしょう。そのため、FP&Aの意見や提案は企業の事業戦略や投資方針などに大きな影響を持つ、きわめて重要な役割を果たしています。日本企業の場合は、経営企画の部署でこの職務を担っていることが多いでしょう。

FP&Aは、経営者と一緒になって事業を考え、売上向上やコスト削減などの財務改善策を提案します。また、新規事業の進行状況や投資対象の選定など、企業の成長に直接関わる戦略的な意思決定を補佐します。

FP&Aの専門知識の必要性

FP&Aを担当する上では、経営計画の策定、財務分析、事業評価など、幅広い専門知識が必要となります。また、財務データの解釈を通じたビジネスの理解力や、分析結果をもとに具体的なアクションプランを策定する知識も重要となります。

具体的な知識やスキルとしては、会計や財務、戦略思考、データ分析、コミュニケーションスキルなどが求められます。その他にも状況に応じて法務、リスク管理、税務、経営管理などの知識も必要となるでしょう。これらの専門知識を持つことで、より適切な財務戦略と分析を行うことが可能となります。よくMBA課程の終了後の就職先としてもこのFP&Aを選ばれることもあるかと思います。MBAで得られる知識の実戦の場としての親和性が非常に高い職でもあります。

CFO/コントローラーとFP&Aの違い

企業の財務業務を築き上げるにあたり、異なる役割を持つ重要なポジションとしてCFO(最高財務責任者)、コントローラー、FP&A(財務計画と分析)が存在します。これらは、すべて企業の財務管理に直接関わる立場でありながら、それぞれが帯びている責任や役割は異なります。以下でそれぞれの責任や役割、そしてCFO/コントローラーとFP&Aの関係性について詳しく解説していきます。

CFOの主な責務とその役割

CFOとは、企業の最高財務責任者のことを指し、企業の経済状況を全体的かつ総合的に把握し、その情報を基に経営戦略を立案することが主な責務となります。その他にも、企業の財務状況の分析、リスク管理、投資戦略の策定など、経営状況の全般的な管理と財政健全性の確保を行っています。

さらに詳しく言うと、CFOは企業の短期・長期的な財務予測を立案し、これらを元にして資本政策や投資方針、財務戦略を策定します。また、経営陣と一緒にビジネスモデルの改善や製品開発などの戦略立案にも関与します。財務状況の把握と報告という一方で、経済環境の変化に柔軟に対応可能な戦略を作り出す役割も担っています。

コントローラーの主な責務とその役割

コントローラーとは、CFOの下で働く財務担当者であり、一般的に二つの解釈が存在していて事業部の中に入り込んでその担当事業の財務状況を把握し、必要な事業を数字や財務報告の形で作り出すという役割を果たします。 日本では事業部経理責任者がこの任務についています。これらの報告には会計報告書や財務評価レポートなどがあり、これらはCFOや経営陣による戦略立案の基盤となります。あるいは中小規模の事業会社であれば経理部長がコントローラーを担っているということもあるようです。

具体的には、経費管理や収益の分析、リスク管理などを铉するアウトプットとして毎年の予算作成や会計監査、財務報告を手がけます。また、財務データの正確性を保証し、税法やその他の規制に準拠するためのポリシー作りも行います。全体の財務戦略に対する支援から具体的な業務まで幅広く担当することが彼らの主な責任となります。

FP&AとCFO/コントローラーの関係性

FP&Aは、財務計画と分析を担当し、企業の将来に対する予測やビジネスのトレンド分析、利益性の分析などを行います。FP&Aは一つの部門であり、CFOの下で機能し、経営層に対する意思決定材料の提供を行います。

FP&Aの情報は、CFOが財務戦略を作る上で重要な基盤となります。また、コントローラーが行う財務報告の素材にもなります。FP&Aの分析や見解に基づくと、経営層はより正確な財務計画を立て、企業の利益を最大化する方向性を決定することができます。FP&AとCFO/コントローラーは、企業の財務的な成功を目指す上で密接に連携して働く必要があります。

FP&AからCFO/コントローラーへの最適なキャリアパス

FP&Aの役職は、組織の社会的業績予測や予算組み立て、実況報告を担当し、成長促進への戦略決定に対する洞察を提供する重要な役割を果たしています。従って、FP&Aを経験し、そのスキルを磨いたことによって、CFO(最高財務責任者)/コントローラーの上位職へと進むことは自然と考えられます。外資系企業では国内でも一般的にこのルートを通っているように思います。ここでは、具体的なスキルの獲得方法と、それをどのように活用しながらキャリアアップのステップを踏んでいけばよいかについて詳細に説明していきます。

FP&Aで培うことができるスキル

FP&Aでは、まず社会的業績予測のために、経済指標や業界動向への理解を深める必要があります。また、予算組み立てには金融リテラシーや企業計画の理解、またそれらを可視化するための高度な分析スキルも求められます。さらに実績報告では、適切な情報発信を行い、その結果をもとに具体的な意思決定を促すといったコミュニケーションスキルも重要となります。これらのスキルは、組織全体のパフォーマンスを管理し、戦略的な意思決定に寄与するCFOやコントローラーとして欠くことができないものです。

CFO/コントローラーになるためのステップ

上記のような他のFP&Aスキルを磨いた後には、最初にディレクターや部門長といった管理職への昇進を目指すのが一般的なステップです。この段階で、より広範囲な業務範囲を経験し、また人事や組織運営への理解を深めることが求められます。その上で、さらに視野を広げてゼネラルマネージャーや副社長など上級管理職への昇進を目指すことで、組織全体を見渡す視点と、財務戦略を実現するためのリーダーシップスキルを身につけることができます。著者の経験では、FP&Aからプロダクトラインやそのグループ毎のコントローラーや、小さな組織のCFOとしてステップアップしていました。

FP&AがCFO/コントローラーへ進むためのアドバイス

FP&AがCFO/コントローラーへ進むためには、まずは自身のスキルセットを、昇進のためのあるべき姿に合わせてアップデートし続けることが不可欠です。また、上位の職位では戦略的な視点が求められるため、自分自身の職務だけでなく、組織全体の動きや業界動向にも目を向け、意義ある提案ができるようになることが重要です。よく言う、会社全体を「俯瞰する力」が求められています。しかもそれらを数字に置き換える力、そしてその数値をもとに周囲との良好な関係づくりやネットワーキングも、昇進に向けた重要なステップになります。そして最後に、辛抱強く、自身のキャリアパスを追求し続けることが必要です。これらのアドバイスを念頭に置き、次のステップに挑戦していきましょう。

FP&Aの重要なツールとテクノロジー

財務計画と分析(FP&A)は、企業が成長し成功するためには不可欠な部分です。業績の把握や予測、意思決定を支援するFP&Aの領域では、エクセルなどのスプレッドシートに関するスキルだけでなく、ERP等の基幹システムの利用やパフォーマンス評価,更にはメーカーだであれば生産管理等多くのツールから情報を収集することが求められます。

モデリングと分析に役立つツール

FP&Aにおけるモデリング作成は非常に時間を使いますし、やりがいを感じる仕事かと思います。その分析活動によって、戦略の方向性や事業成長の可否を示すパラメータを明らかにします。表計算ソフトやその他ソフトウェアは、そうした作業を容易に行うための重要なツールです。ビジネスインテリジェンス(BI)ツールは、企業の業績をより詳細に分析し、予測するために用いられます。Tableau(タブロー)やPowerBI等のビジュアルリゼーションツールは、複雑なデータセットを視覚的に把握することで、より具体的な分析を可能にします。このようなツールを用いることで、FP&Aの精度は大いに向上し、質の高い決定が可能となります。大手企業や外資系ではより統計的にシュミレーションの確からしさを示すためにモンテカルロシミュレーション等を用いている企業もあります。TreePlan Software社のSimVoiというツールは非常に使いやすく人気があり、海外のMBAでは授業のコースで提供されています。

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テクノロジーの進化がFP&Aにもたらす影響

近年のテクノロジーの進化はFP&Aの領域に多大な影響を及ぼし、新たな機能や分析の視点を提供しています。AIや機械学習の技術は、予測の精度を飛躍的に向上させ、また大量のデータセットを効率的に処理する力を与えています。ある外資系コンサルティング企業ではFP&Aの作業のほとんどをPowerBIで自動化しており社内データ抽出と分析に必要な数値結果を示してきます。このことによりFP&Aやコントローラーは数値の分析と仮説の立案、検証そして経営者とのコミュニケーションにその時間の多くを使うことができ生産性が飛躍的に高まっています。また今急速に進むERPシステムのクラウドテクノロジーは、海外ともリアルタイムでのデータアクセスや共有を可能にしています。これらのテクノロジーを活用することで、企業はより迅速で、より正確な意思決定を行うことができるようになります。

FP&Aのトレンドと将来性

近年、ビジネスの世界におけるFP&A(Financial Planning & Analysis)の役割と重要性が増しています。グローバル化とデジタル化の潮流の中で、企業のビジネス戦略を策定し、経営のプロセスに対する洞察を提供し、企業の持続的な成長を支えるために、FP&Aはその核を担っています。特に、世界経済の不確実性が増した現代社会では、その重要性は一層高まっています。

最新のFP&Aのトレンドと未来展望

最新のFP&Aのトレンドとしては、AI(人工知能)やビッグデータの活用が挙げられます。超大手ネット企業では、業務のタスクをAIでの作業に任せ、これまで人間が苦労していた”集計”作業中心の時間の使い方から離脱しています。従来の手法では対応できなかったデータの量と複雑性を、AIやビッグデータは手軽に解析し、しかも網羅的にデータをとらえより短時間で正確な分析が可能になってきています。この結果、より精緻な予測と高度な意思決定が可能になっています。また、これらの技術の導入により、FP&Aの役割もより経営戦略のための支援から実行までを網羅するものへと変化が期待されています。その結果、企業の競争力を向上させ、さらなる成長を実現するための一助となるでしょう。

CFO/コントローラーに求められるFP&Aの理解

CFOやコントローラーに求められるFP&Aの理解とは、今日のビジネス環境において、企業のビジネス戦略を策定しサポートする時に必要な複雑な情報を理解し、適切に解釈できる力を指します。また、FP&Aの専門家としては、データを分析し、それを経営陣に伝えるだけでなく、そのデータを基にどのようなアクションが最善かを提案し、戦略として組み込むことが求められます。最新のテクノロジーの活用にも精通している必要があり、それにより企業の持続的な成長を可能にするリーダーシップを発揮することが求められます。

FP&Aの導入と管理における注意点

企業の経営意思決定に直結するFP&A(財務計画・分析)。その導入と管理は、組織の経営戦略を形成・実行するにあたり重要な役割を果たします。しかし、無計画な導入や運用は逆効果を招いてしまう可能性もあります。次に述べる3つの観点から、FP&Aの導入と管理における注意点を解説していきます。

FP&A導入時の注意点

導入前には、まずは自社のビジネスモデルと戦略に合ったFP&Aの具体的な目的と役割を明確に定義することが重要です。また、必要な情報をタイムリーに提供できるシステムを整備するとともに、データ品質を確保することも大切です。しかしながら国内企業はこの分野の経験値が少ないこともあげられます。外資系企業からの経験者を採用することも検討する、あるいはアドバイザーなどをつけて経理や経営企画のスタッフを支援してもらうことが近道です。導入時にはこれらの注意点を念頭に、導入計画を策定し実行に移すことが求められます。

FP&Aの運用・管理についての課題と解決策

一方で、FP&Aを運用・管理する際には、以下のような課題がしばしば見られます。一つ目は、情報システムの未整備によるデータの不足です。分析を重視していなかった会社ではシステム化が遅れ管理・分析力が不足しています。ここには、データ整理、標準化、統合の難しさがあります。二つ目は、定性的な判断を定量的分析に結びつける能力の欠如です。これには事業部門とのコミュニケーションが重要となるでしょう。これらの課題に対し、定期的なツールの導入やスタッフの教育、横断的な情報共有の推進などが有効な解決策となります。

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FP&AのROIの最大化方法

FP&Aの投資回収率(ROI)を最大化するためには、FP&Aの活動全体を組織のビジネス目標と連動させることが先決です。また、適切なKPI設定やモニタリングのルーティン化、情報共有体制の整備が重要です。次に、高い効果を生むためには、FP&Aチームがデータ分析能力を持つだけでなく、それを実際の意思決定に結びつける能力もあわせて持つことが求められます。こうした動きを通じて、FP&AのROIを最大化し、組織全体のパフォーマンスを向上させていきましょう。

FP&Aの成功事例とそのポイント

経営をより効率的・効果的に行うための手法として近年注目されているのが、FP&A(財務計画・分析)です。成功事例を詳細に見ていくことで、その有用性や取り組み方の参考にできるのです。我々は特定の問題解決だけでなく、そのプロセス全体を理解し、何が成功に繋がるのかを学ぶことが一層重要です。

成功に繋がる戦略とその具体的な実行手段

さて、その成功へ繋がる戦略とは何なのでしょうか。一貫しているのはデータの収集・分析による意思決定の助けとなる情報の提供とその定量的な意思決定を行う強い経営のコミットメントです。そして、それらのデータを管理し、適切に解釈し、戦略に落とし込む役割を果たすのがFP&A部門です。具体的な手段としては、予算策定、将来の業績予測、リスク管理等を含む複雑な財務情報の管理と分析があります。また、分析が一人歩きしないようにこのFP&Aを担う組織には会社の方向性や戦略とアライメントをとっておく必要があります。そのことで戦略的意思決定を支援する真のFP&Aとなっていきます。

FP&Aに必須のmultibookの存在

FP&Aは企業の数値の番人として財務状況の分析や予測を行い、CFOやコントローラーという経営者のよきビジネスパートナーとしてアドバイスをする仕事です。不透明な時代となり今後、国内でもさらに注目が高まっています。人材を募る企業も増えるでしょう。高度なスキルが求められますが、それゆえに目指す価値はある職種です。なお、クラウド型ERP「multibook」は、FP&Aでは必須の管理会計や企業経営に役立つツールとしてリリースしているため、気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

渡部 学

日系半導体商社にて経理、IT、シェアードサービス、海外業務統括、総務の責任者を経て、香港現地のM&Aに伴う買収先のPMIに従事。その後アジアパシフィック全域の財務統括を担う。帰国後は外資系医療機器製造業の日本法人におけるCFOとしてグローバル企業のリーダー職に従事。2019年株式会社マルチブックにCFOとして参画しM&Aによる資金調達をリード。2021年CEO就任。

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