【会計実務】有価証券の会計処理101~簿記試験でも役立つ!?~
会計
記事更新日:2021/02/18
こんにちは。マルチブック編集部です。今回も、会計実務のお話をさせていただきたいと思います!
会計実務シリーズの第二弾は、有価証券の会計処理についてです!第一弾の外貨建取引の会計処理についての記事をお読みで無い方は、こちらも合わせてお読みいただければと思います👇
【会計実務】外貨建取引の処理の仕方!~簿記試験でも役立つ!?~
有価証券とは?
一般的に、株式と、債券(公社債)の2種類のことを有価証券といいます。
株式って何?
“株式(かぶしき)とは、株式会社の構成員(社員=株主)としての地位(社員権)や権利のことである”
出典:wikipedia
株式会社は、株主を募集し、出資金を出したものに対して、株式を割り当てることを以って、出資者に株主としての地位を付与するのです。
債券って何?
”社会的に一定の信用力のある発行体が資金を調達する際に、金銭消費貸借契約に類似の法律関係に基づく金銭債権の内容を券面上に実体化させて発行する有価証券のこと。広義には券面が発行されない場合も含む。”
出典:wikipedia
うむ、何だか少し難しそうですね。。?
まず前提として、債券は地方自治体や国などの公的な団体が発行する公債と、企業等が発行する社債の両方を含みます。その他、発行体により、金融債、地方債等の分類の仕方も存在しますが、ファイナンスでは無く、あくまで有価証券の会計処理に関しての記事ですので、ここでは混乱をさけるため公債、社債の2種類をもって債券とさせていただきます。
でも株式と債券、結局何が違うの?
債券は債という漢字からも想像がつく通り、ある種の借用証書であり、発行する側が、出資者側に対して負う債務なのです。なので、発行者側は、出資者側に対して、資金の返済の義務を負います。一方で、株式の場合はどうでしょうか?確かに、会社は出資者である株主に対して、配当という形で報いる責任を追っていますが、会社が株主に対して債務を負っている訳ではないので、配当は義務ではないのです。
このように、返済義務の有無の点において異なる、債券と株式の2つを指す言葉が、有価証券なのです。
もちろん、この他にも株式、債券間の相違点は数多とあります。この記事はファイナンスではなく会計処理に関する記事なので、ここでは省略させていただき、早速本題に移ります。
購入目的に応じて分かれる有価証券の種類
有価証券の会計処理をするにあたって、購入目的に応じて異なる有価証券の種類を頭に入れておく必要があります。(日商簿記2級合格のためにも、必修のテーマです!)
①売買目的有価証券
取得した証券を一定期間保有したのちに販売し、取得時と販売時の証券の価格の差により、利益を得ることを目的とした、その名の通り売買を目的とした有価証券の場合、この分類に当たります。
②満期保有目的債券
①の売買目的有価証券とは異なり、売買を目的とせず、満期まで所有していることを意図して購入したものは満期保有目的債券にあたります。
③子会社株式
株式の50%超を取得しており、事実上支配権を獲得している会社は子会社に該当します。保有している子会社の株式は、その名の通り子会社株式と呼称します。
④関連会社株式
株式の20~50%ほどを取得しており、支配しているとまでは言えないものの、一定の影響力を及ぼしている会社は関連会社に該当します。関連会社の株式を関連会社株式と呼称します。
⑤その他有価証券
上記のいずれにも該当しない場合、その他有価証券という分類になります。例えば、相手企業との関係維持のために株式の一部を購入しておくという場合がありますが、この場合①~④のいずれの目的にも合致しないため、その他有価証券の分類となります。
有価証券は流動資産?固定資産?
有価証券を資産勘定で処理することは、なんとなく想像がつくかもしれません。貸借対照表上では、流動資産か固定資産かの区分も明確化させる必要があります。有価証券が流動資産扱いとなるか固定資産扱いになるかは、各取引の様態により異なります。
証券なんだし、流動資産じゃないの??!!と思うかもしれませんが、固定資産にもなりうるのです。
固定資産扱いになる有価証券
①満期日が到来するまで1年超の満期保有目的債券
②その他有価証券のうち、株式に該当するもの
③満期日が到来するまで1年超のその他有価証券のうち債権に該当するもの
④子会社株式
⑤関連会社株式
以上に該当しない有価証券は全て流動資産です。
まず、売買目的有価証券が流動資産となる理由は分かりますか?
売買目的有価証券と満期保有目的債券の大きな違いは、保有の意図でしたね。満期目的債券は満期まで保有していることが目的なので、すぐに売ったりするようなことは想定されていません。基本的には流動性は高くないため、固定資産の扱いになります。同様に、子会社株式や関連会社株式もすぐに手放すことは当然想定していないので、固定資産扱いとなります。
反対に、売ることを前提にしている売買目有価証券は出入りが激しいため、流動資産扱いになるのです。
時価評価替えの有無
①売買目的有価証券
売買を目的としている有価証券であるため、時価の変動額は、投資により発生であり、損益計算書に記載する対象となります。そのため、売却時はもちろん、取得時の価格ではなくその時点の時価により販売し、発生した損益を計上します。また、決算時にも同じく時価による評価替えを行います。
②満期保有目的債券
満期まで保有していることが目的があるので、基本的には時価評価替えは行いません。利息の受け取りによりにより、償還を受けます。
(ただし、債券の額面の金額と取得金額間の差額が金利の調整と認められるようになる場合は、償還日まで、差額を月割り等で計算し、債券の価額に加算していきます。この方法を償却原価法といいます。)
③子会社株式・関連会社株式
子会社株式・関連会社株式は共に、会社に影響力を及ぼすことを目的として保有する有価証券であるため、時価の変動による取得額との差額は基本的には認識しません。貸借対照表には、取得時の価格を以って資産として掲載します。
④その他有価証券
その他有価証券は、関係維持のために購入しているものから、最終的には売却を意図しているものまで、多岐にわたります。そのため、時価の変動による評価差額は、計上します。しかし、取得から一定の期間内での早期売却に制限がある場合があります。そのため、評価差額は貸借対照表における純資産の部に計上します。
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このように、保有の目的により、処理方法がことなる有価証券ですが、取引件数が多くなるとますます大変になります。
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また、外貨建有価証券の場合、レートをマスタ、もしくはマニュアルにて選択し、自動で為替差損益の換算も可能です!
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