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【会計実務】外貨建取引の処理の仕方!~簿記試験でも役立つ!?~

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記事更新日:2021/01/28

【会計実務】外貨建取引の処理の仕方!~簿記試験でも役立つ!?~

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こんにちは。マルチブック編集部です。

海外の会社とのビジネスを行う際に、取引を外貨建てにして行うことが往々にしてあります。また実務だけでなく、日商簿記の2級などの会計の資格試験でも、外貨建取引は頻繁に取り上げられるテーマです。

そこで今回は、実務や試験で役立つ、外貨建取引の会計処理の仕方について取り上げたいと思います。

円に換算するタイミング

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外貨建てで取引をしたとしても、帳簿に記帳する際には円に換算して記帳しなくてはいけません。では、どのタイミングで、いつの為替レートを用いて円に換算するのでしょうか?

外貨建てで取引を行った際に行った時点での為替レートを用いて円に換算します。

例①: 1,000ドルの売上を計上する。なお、取引時点での為替レートは1ドル=108円である。

  👇

1,000×108=108,000円

なので

売掛金 108,000 / 売上 108,000

が、正解の仕訳となります。

例②:仕入2000ドル分を計上する。なお、取引時点での為替レートは1ドル=110円である。

2000×110=220,000円

なので👇

仕入 220,000 / 買掛金 220,000

このように仕訳を行います。  *三分法により記帳を行った場合

為替レートが変動してしまった場合

取引発生時には、発生時の為替レートを用いて外貨を円に換算しましたね。では、今度は記帳後に為替レートが変動してしまった場合について考えてみましょう!

例③:例②の続きです。代金は掛けとして処理していた②の取引ですが、とうとう仕入先に入金するタイミングがやってきました。ふと、その日の為替レート見てみると、なんと!!😱

1ドル=113円!!!!!!!!

取引時には、1ドル=110円だったのに、円が値下がりしてるではありませんか!!

Q こちらの買掛金の支払い時、取引時、支払い時のどちらの為替レートを用いて支払額を換算するでしょうか?

A. 絶対に取引時!! 今のレートだと、取引時より高くなって損じゃないか!!😡

B. 支払い時。まあ、損しちゃうけど、今のレートがそうならしょうがないか。。。😭

考える

答えは?

 👇

Bです。

外貨建て取引を行う際は、基本的に取引がある度に、その時点の為替レートを用いて計算し、会計処理を行います。

ではそれを踏まえて、例③の会計仕訳を考えてみましょう。

仕入額が2000ドルで、今の為替レートが1ドル=113円なので

2000×113=226,000円

当座預金から支払うとすれば

買掛金 220,000 / 当座預金226,000

これでは、貸借が一致しません。取引成立時の、買掛金の額と、支払い時の為替レートで計算した額の差の6,000円はどうすればいいのでしょうか?

ここで登場するのが為替差損益という勘定科目です。為替レートの変動により生じた損益は全てこの勘定科目で計上します。

買掛金 220,000  / 当座預金226,00              為替差損6,000

今回の取引の場合、為替差によって、自社にとってが生じているため、借方為替差損6,000を記帳します。

また、今回の場合は、為替差により損が生じていますが、反対に得をした場合には、為替差益勘定を用い、生じた収益を、今度は貸方に記帳します。

*日商簿記2級で出題される場合は、両方とも為替差損益の勘定科目で処理する場合が多いですが、ここでは損、益を分けて使っています。

期末決算の際に、外貨建取引の債権・債務が残っている場合

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期末決算処理を行う際に、期中の外貨建取引による債権、債務(主に売掛金、買掛金)が残っている場合、決算時点での為替レートの価格に評価替えをする必要があります。

例①の得意先との取引の際に計上した売掛金108,000円が、決算の日まで支払われることなく、残ったとしましょう。

取引時のレートは1ドル=108円でしたね。

しかし、決算時のレートは1ドル=110円と、ドルが値上がりしているようです。

取引額は1000ドルでしたね。なので決算時の時価を計算すると、

110円×1,000=110,000円

取引時と決算時の差額は 

110,000円ー108,000円=2,000円

今回は、売掛金の価値が2,000円上がっているので、2,000円自社が得をしていることになりますね!

この変動した2000円分を決算時に計上します。

売掛金2,000/ 為替差益 2,000

繰り返しになりますが、今回は自社が2,000円分得をしているので、借方の売掛金を2,000円増やし、貸方で為替差益を計上します。

P/L上での表示の仕方

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今まで、為替差益を貸方に、為替差損を借方に計上してきましたが、実際に決算仕訳が終わり、財務諸表を作成していく際に、P/L(損益計算書)上に表示できるのは、為替差損か為替差益どちらか片方だけです。

そのため、P/L上に表示する際には、

為替差損残高>為替差益残高の場合、為替差損営業外費用として

為替差損残高<為替差益残高の場合、為替差益営業外収益として

P/L上に表示します。

為替レートの変動による損を回避する方法は無いの?

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為替レートの変動により、評価替えをしなければならないことは分かりました。もちろん変動により収益が出た場合は文句はありません。ですが、レートが不利な方に傾いており、どんどん損をしていくようでは、こちらとしても、たまったもんじゃありません。

為替レートの変動による損を回避できる、何かいい方法は無いのでしょうか?

👇

あります!!

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でもどうやって?

為替予約というものを使います。

~為替予約って何?~

例②を思い出してください。仕入2000ドル分をし、取引時点での為替レートは1ドル=110円でしたね。もし決算時にレートが円安に傾いてしまえば、払わなくてはいけない額が増え、自社が損をすることになります。

そこで、取引時に1ドル=111円のレートで為替予約を結ぶことにしました。

そうすれば、為替レートが変動することにより、1ドル=111円より不利にレートが傾いたとしても、評価替えをする必要はありません。

111円×2000=222,000円が買掛金の額として固定になるので、買掛金支払時、決算時のレートがいくらであろうが関係ありません。

予約した1ドル=111円のレートで固定されているからです。

*例えばレートが1ドル=109円になり、このレートで計算すれば払う額が減るので得ですが、為替予約をした場合、これもできないので注意が必要です。

あくまで、1ドル=111円は固定なのです。

発展途上国の外貨による取引

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ドルやユーロなどのメジャーなどに比べて、流通性がまだあまり高くない発展途上国の通貨で外貨建取引を行う際は、リアルタイムに正確な為替レートを把握できない場合があります。そのような場合は、前月の為替レートにより換算するなど、手に入れられる情報を元に最善の処理をしていく必要があります。また、発展途上国の通貨の為替レートは変動が著しく、膨大な額の為替差損益が生じる場合があります。そのため、為替損益が一定の額を超えた場合、財務諸表上、営業外損益ではなく、特別損益として表示することが妥当となることがあります。(会計制度委員会報告第4号 外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 69項ただし書)

マルチブックで簡単に外貨取引管理!!

ここまで見てきた通り、ただでさえ処理事項が多い外貨建取引ですが、取引件数が多い会社ですと、それらを全て正確に管理するのは非常に困難です。エクセルだけではとても管理しきれません。自社にあった会計システムの導入を検討してみると良いでしょう。

マルチブック自社開発の、海外拠点向けクラウド型会計ERP ”multibook” は、低価格でありながら11か国の言語と、世界各地、どの通貨での仕訳にも対応しているので外貨取引管理にも最適です!!

取引時には、システム内の引用機能を用いて、使用する取引レートを指定します。取引発生時に指定したレートに基づき、為替差損益や決算時の評価替えの計算も自動で行われ、全て財務諸表にも反映されます。

煩雑な作業も必要なく、多数の取引の管理が可能です!!さらに、為替レートもヒストリカルに保持しておくことが可能です。

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この記事を書いた人

マルチブック編集部

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