• ホーム
  • 記事一覧
  • フィリピンにおける電子請求書・販売データ報告に関する最新のBIR規制

フィリピンにおける電子請求書・販売データ報告に関する最新のBIR規制

国別

フィリピン

ERP

2025/08/04

フィリピンにおける電子請求書・販売データ報告に関する最新のBIR規制

はじめに

フィリピンに進出している、あるいは進出を検討している日系企業にとって、現地の税務規制への対応は避けて通れない重要課題です。特に近年、フィリピン歳入庁(BIR)による電子請求書および販売データの電子報告に関する義務化が進み、企業には迅速かつ確実な対応が求められています。本記事では、BIRの最新規制である「歳入規則第8-2022号」および「歳入規則第11-2025号」の概要と、それらに対してグローバルクラウドERP「multibook」がどのように対応できるかを詳しく解説します。

「歳入規則第8-2022号」および「歳入規則第11-2025号」の概要

フィリピンでは、歳入規則(Revenue Regulations)によって税務コンプライアンス要件が定められており、特に電子請求書発行(e-Invoicing)と電子販売データ報告(Electronic Sales Reporting)の義務化が進んでいます。その詳細を順番に解説します。

CBAの承認取得済み!グローバルクラウドERP multibookの詳細はこちらから>>

歳入規則第8-2022号(RR 8-2022)の概要(2022年6月30日発行) 

RR 8-2022は、電子レシート/請求書(e-Receipts/e-Invoices)の発行および販売データの電子報告に関する方針とガイドラインを規定するために発行されました。 この規則により、以下の納税者が電子レシートまたは販売/商業請求書の発行を義務付けられました:

  • 物品およびサービスの輸出に従事する納税者。
  • 電子商取引(e-commerce)に従事する納税者。
  • 大規模納税者サービス(LTS)の管轄下にある納税者。

義務化対象の納税者の遵守事項

上記の納税者のうち、e-commerceに従事する納税者を除き、Sales Data Transmission Systemを使用して販売データをBIRに電子的に報告または送信することが義務付けられました。BIRは、これらのデータを保存・処理できるElectronic Invoicing/Receipting System (EIS)を構築しました。

義務化対象の納税者は、以下の事項を遵守する必要があります:

  • 手動のレシート/請求書に代えて、顧客/購入者にe-Receipts/e-Invoicesを発行すること。
  • e-receipts/e-invoicesを生成するコンピュータ会計システム(CAS)および/またはキャッシュレジスターマシン(CRM)/POSシステムを登録し、Sales Data Transmission Systemの認証を受けること。
  • Sales Data Transmission Systemを使用して、e-receipts/e-invoicesでカバーされる販売データをBIRのEISに送信すること。

BIRへの販売データ送信要件と有効な請求書の定義

フィリピン歳入庁(BIR)に販売データを電子送信するには、EIS(Electronic Invoicing/Receipting System)に準拠した専用システムを開発・認定取得する必要があります。具体的には、BIRが定めたAPIガイドラインに従って「Sales Data Transmission System」を開発し、EIS CERT(認証)を受けなければなりません。

さらに、データ送信にはBIRからのPermit to Transmit(PTT)許可証の取得も必要です。
送信のタイミングにも注意が必要で、取引日から3暦日以内にデータを送信しなければなりません。データは暗号化されたJSONファイル形式で提出する必要があり、遅延や未送信には罰則が科される可能性があります。

税務上「有効」と認められるレシートや請求書は、BIRに適切に登録された会計システム(CAS)、または認定されたPOSやレジ端末(CRM/POS)から発行されたものに限られます。これ以外の手段で発行された書類は、税務処理上無効とされる可能性がありますので注意が必要です。

歳入規則第011-2025号(RR No. 11-2025)の概要(2025年2月25日発行) 

RR No. 11-2025は、RR 8-2022を更新・補完する最新の規制であり、特に電子請求書発行および販売データ報告の義務化対象を、次のように大幅に拡大しました。
電子請求書発行の義務化対象の拡大:

  • 電子商取引(e-commerce)またはインターネット取引に従事する納税者。
  • 大規模納税者サービス(LTS)の管轄下にある納税者。
  • RA No. 11976(Ease of Paying Taxes Act)およびRR No. 8-2024で分類された納税者。
  • 電子請求書発行機能を持つコンピュータ会計システム(CAS)、コンピュータ化された会計帳簿(CBA)、コンピュータ化された納税者台帳、その他の請求ソフトウェアを使用する納税者。
  • POSシステムを使用する納税者。
  • その他、コミッショナーが要求する納税者。

電子販売データ報告の義務化対象の拡大

特に注目すべきは、RR 8-2022では販売データ報告義務から除外されていた電子商取引(e-commerce)事業者が、RR No. 11-2025ではすべての規模で販売データ報告の義務対象となった点です。前項の電子請求書発行の義務化対象と、ほぼ同様の納税者が対象となります。

追加の税額控除の導入

電子請求書発行および電子販売報告システムの導入にかかる費用に対し、中小零細納税者は総費用の100%、中規模および大規模納税者は50%の追加控除が課税所得から認められます。

移行期間の規定

RR No. 11-2025のSection 3(A)(1)から(3)に該当する納税者には、発効日から1年間の電子請求書発行要件遵守のための移行期間が設けられています。

multibookによるBIR規制への対応とソリューション

当社のソリューションであるmultibookは、上記BIRの厳格な要件に完全に準拠するように設計されており、お客様のフィリピンにおける税務コンプライアンスと業務効率化を強力に支援します。

BIR承認システムとしてのCAS/CBA完全準拠

フィリピンでは、会計システムを使用して請求書を発行する場合、BIRからの承認(CBAおよびCAS登録)が必要です。multibookは、このCBAおよびCASの両方の要件に完全に準拠しています。これにより、企業は効率的かつ合法的にシステムからの請求書発行業務を行うことができます。

最新の電子請求書発行(e-Invoicing)義務への対応

  • multibookは、CASで義務付けられている必須項目をすべて含んだ公式領収書や請求書を出力することができます。これにより、手書き文書の必要性がなくなり、請求業務の効率が大幅に向上します
  • 消費税(VAT)や源泉徴収税の金額の記載、TIN(納税者識別番号)の表示、支払い条件や銀行口座情報の表示など、BIRの請求書要件に準拠した内容が表示されます。
  • 柔軟な請求書レイアウト機能により、ユーザーの特定の要件に合わせて請求書を発行できます。
  • 請求データ入力の効率を高める機能として、販売価格マスターからの標準価格の自動取得、過去の請求書記録からのコピー、Excelによる一括登録などが提供されます。
  • 作成された請求書は、お客様に直接メールで送信することが可能です。

電子販売データ報告義務への対応とBIRへのデータ送信準備

  • multibookは、仕訳帳、売上・仕入帳、総勘定元帳、財務諸表など、さまざまな法定報告書をCAS準拠で出力します。これらの帳簿は、BIRへの販売データ報告の基礎となります。
  • BIRへの提出用のインターフェースファイル(例:1601-EQ, 1604-E)の出力に対応しており、販売データの電子報告をサポートします。
  • BIR EIS(Electronic Invoicing/Receipting System)への直接的な送信は、BIRが定めるAPIガイドラインに基づくSales Data Transmission System(BIRへの登録と認定が必要)を通じて行われます。multibookは、この送信に必要なデータ形式(JSONファイル形式)に対応するインターフェースファイルの準備を支援します。これにより、お客様はBIRの販売データ報告義務を効率的に果たせるようになります。

強化された源泉徴収税管理機能

  • フィリピンの税務において非常に重要な源泉徴収税(Withholding Tax)の管理は、multibookの主要な強みの一つです。
  • 各明細項目レベルで源泉徴収税率を設定できるため、システムが各項目の源泉徴収税額を自動的に計算します。
  • 債務決済プロセス中に源泉徴収税額を自動計算し、正確な源泉徴収税の追跡と報告をサポートします。
  • 請求書作成時にForm 2307(拡大源泉徴収税申告書)が自動的に生成されるため、発行者と支払者の両方で税務コンプライアンスが強化されます。これにより、源泉徴収税額の正確な通知が可能になります。
  • 関連する会計仕訳が自動的に転記されるため、データの重複入力が不要になります。
  • 勘定科目クリアリング機能を通じて、EWT(拡大源泉徴収税)のクリアリングが強化されます。
  • BIR Form 2306の生成もサポートしています。

その他のコンプライアンスおよび業務サポート

  • PHPが基軸通貨でない場合でも、税務申告のためにPHPでの財務諸表出力が可能です。
  • フィリピンでは依然として実施されている一般的な小切手による支払いにも対応しています。
  • multibookの導入は、RR No. 11-2025で規定された追加の税額控除の対象となる可能性があり、お客様のコスト負担軽減に貢献します。

CBAの承認取得済み!フィリピンでも安心してご利用いただけるグローバルクラウドERP multibookのサービス資料をメールで受け取る>>

multibookは、これらの包括的な機能を通じて、お客様がフィリピンの複雑な税務コンプライアンス要件を効率的かつ正確に満たし、業務のデジタル化を推進できるよう支援します。

<出典>

<関連記事>

この記事を書いた人

マルチブック編集部