20を超える海外拠点のグローバル会計基盤統一を視野にmultibookを導入し、「内部統制強化」「問い合わせ工数削減」「グループへのサポート体制強化」を実現
物流サービスを展開し2022年に創立70周年を迎える、株式会社フジトランス コーポレーション。名古屋港を拠点とし、北海道から沖縄まで全国約20ヶ所に支店・出張所を構える、老舗企業です。現在では海外輸送の需要に応えるため、アメリカ、ヨーロッパ、上海、タイ、シンガポール、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナムなど海外に22の現地法人を展開。グローバル会計基盤の統一を視野に、2019年よりmultibookの導入をスタート。今回は同社経理部門の皆様に、multibookへの率直なご感想や、導入後の成果などについてうかがいました。
multibook導入による効果

【写真右から】
株式会社フジトランスコーポレーション 経理部 課長 橋川 宗氏
株式会社フジトランスコーポレーション 経理部 副主任 菱田 匡徳氏
株式会社フジトランスコーポレーション 経理部 主任 田中 裕子氏
株式会社フジトランスコーポレーション 経理部 担当 平野 鮎子氏
株式会社マルチブック 営業部 Lead Solution Architect 川畑 優太
海外法人の設立ラッシュで“各社各様”の会計システムが課題に
――multibook導入前のご状況や課題について教えてください。
橋川:当グループでは2013年から2016年にかけて、とくにアジア地域の現地法人を相次いで10社設立しました。これまでも会計システムは各社で利用システムが異なり課題を感じていましたが、グループ社数が一気に増え、海外拠点も国内同様に、いよいよシステムを統一させる必要があるだろうと考えたのです。
当時抱えていた課題は大きく分けて三つあります。一つ目は内部統制。現地法人によっては、責任者やマネージャーによる承認機能が付いていないシステムを使用している企業がありました。承認機能を含め、そのような一つひとつのルールやシステムを統一したいと考えていました。
二つ目は本社からの問い合わせ等の工数増です。監査時に現地法人ごとに異なる会計システムの仕組みを理解するのに、まず時間がとられていました。加えて、四半期ごとに連結決算の実施にあたりグループ会社より会計データの収集をするのですが、特にグループ間取引について明細の確認をしたいときは、その都度メールで聞かなければなりません。日々忙しい駐在員に問い合わせの間に立つ対応をお願いするのも申し訳なく、現地採用の経理スタッフに直接問い合わせるのですが、英語という言葉の壁もあり、必要となる明確な回答を得られるまでに時間がとられていました。
三つ目はグループ管理・サポート体制の強化です。具体的には勘定科目体系の統一や会計データの一元化を図ることで、駐在員や現地スタッフとのコミュニケーションをより円滑にしたいという思いがありました。また、当社では帰任した駐在員が別の海外法人に出向することがあります。そのような場合でも、会計システムが同じであれば新しい赴任地における管理のキャッチアップがしやすく、今までのように各現地法人のシステムの違いからくる管理の相違を理解するという余計なストレスを減らせると考えております。

導入の決め手は、「機能」「使い勝手」「価格」のバランス
――どのようなきっかけでmultibookのサービスを知りましたか。
橋川:2018年3月にmultibook共催のセミナーに参加したことがきっかけです。たしか「決算早期化」をテーマとしたセミナーだったかと記憶しています。multibookは、“グローバル会計基盤を統一したい”という私たちの課題をまさに解決するサービスで、こういうシステムがあるんだと驚いたのを覚えています。
――他社との比較検討はされたのでしょうか。また、multibook導入の決め手は何でしたか。
橋川:multibookを含めて3社で比較検討しました。そもそも当時、日本企業でmultibookのような海外向けの会計システムを提供している会社は少なく、選択肢はそう多くありませんでした。
そのうちの1社は費用が高く、少人数で拠点を運営している当社には予算が合いませんでした。もう1社は、正直なところmultibookよりも価格は安かったです。しかしデモンストレーションなどで試させてもらった結果、機能や使い勝手の面で見劣りがありました。経理業務は日々の積み重ねですから、ちょっとした操作性の良さや使い心地で、ストレスや生産性がまったく変わってきます。
multibookは多言語対応で、一般会計、債権・債務、管理会計、固定資産等の管理ができ、当社が利用している連結会計システム「DIVA」との連携機能も備えている。承認機能や権限機能、グループ勘定科目表による勘定科目体系の統一など必要な機能を網羅していて、安心できました。むしろ、これだけの機能を、こんなにリーズナブルな価格で提供して大丈夫なのかなと、少し心配になったくらいです(笑)。
――multibookを導入するにあたって、不安だった点はありますか?
橋川:そうですね、私たちが導入を検討していた当時は、multibookがリリースされてまだ日が浅かったこともあり、私たちが期待している通りの対応ができるのか、やや不安はありました。しかし、一見デメリットに見える“歴史が浅い”という点は、実はメリットでもあり、こちらからの要望に柔軟に対応いただけたり、私たちの声を製品のアップデートや機能追加につなげていただけたりするのではないかと考えました。
実際にまさに今、想定通りの状況になっています。こちらの要望を随時ヒアリングいただいて、非常に柔軟に機能追加の改善対応をしてもらっています。

コミュニケーションを取りながら慎重に進めた、初回のシステム導入
――海外法人への導入はどのように進めましたか。導入時の課題や苦労した点があれば、教えてください。
橋川:本社主導で海外法人に会計システムを導入するのは初めてでしたから、慎重に進めようというのが会社の方針でした。現地法人の中でも事業や組織がシンプルで、比較的取引量が少ない会社を選び、タイとミャンマーの現地法人に一社ずつ導入することを決めたのです。その二社については、現地に出張し、駐在員や経理スタッフに導入後の運用を確認しながら操作教育を行いました。
徐々に導入企業を増やしていく計画でしたが、コロナ禍になり出張ができず、一旦中断に。ただ2021年に入ってリモートでの対応にも慣れてきたことから、フィリピンとタイ、シンガポール、ベトナムの現地法人計7社への導入を決め、現在、順次取り組んでいるところです。導入自体は、経理部だけではなく情報システム部の力も借りながら、進めています。
――新たに導入した現地法人に関しては、出張せず、リモートで操作教育を行われているのですか。
橋川:そうですね。操作教育についてはリモートで行っています。multibookはタイに拠点があるため、現地のスタッフが直接当社の海外法人に訪問してくれました。日本語のみならずタイ語での現地スタッフへの教育も含めて手厚くサポートしていただいていると感じています。

――そのほか、システム導入時のmultibookのサポートにはどんな印象をお持ちですか。
菱田:導入直後には、やはり現地法人からの質問や相談が増えました。ただ、こちらが想定していたよりもスムーズに、対応できたと感じています。
それは当社を担当してくださっているmultibook営業の川畑さんが、レスポンスよく、何でも相談に乗ってくれたことが大きかったと思っています。本来であれば「それは別部門に問い合わせてください」と言われてしまうような相談窓口が分かれていることでも、全部、聞いてくださったんです。私たちとしても、当社の事情を知っている方に、メールでは伝えにくいニュアンスの部分も含めて電話で気軽に相談できるのはありがたかったですし、他であれば海外各国でバラバラとなるような事案についてもしっかり取りまとめてくれることで安心感にもつながりました。
「海外現法の経理業務内製化」「内部統制の強化」「問い合わせ等の工数削減」「グループ管理・サポート体制強化」を実現
――multibookを導入して良かったことや成果について教えてください。
橋川:もともとミャンマーの現地法人では記帳業務を外注しており、multibookを導入することで経理業務の内製化を実現しました。その後、はからずもミャンマーでクーデターが起こり、駐在員が帰国することに。現地に戻れない状況下でも、multibookを導入していたおかげで、日本から会計データを確認しながら経理業務を続けることができました。帰国した駐在員も「multibookを入れておいて本当によかった」と言っていましたね。
導入した現地法人においては、当社が重視していた「内部統制の強化」「本社からの問い合わせ等の工数削減」「グループ管理・サポート体制強化」を徐々に実現できています。期待通りの成果を得られているのではないでしょうか。
とくにこれまでは、現地法人の決算時に残高データしか入手できていなかったのが、本社で明細データまでほしいときに確認できる。このメリットは大きいです。

田中:決算時に、現地法人からデータをもらうのですが、そのデータが正しいかどうか疑問に思うことが多々あるんですね。そんなときに、本社でmultibookにログインし、詳細を確認できるのは、ありがたいです。現地法人に問い合わせする内容が具体的になることで工数や時間も削減できています。今後、導入拠点数が増え、お金の動きが複雑な企業にも導入されれば、さらに効果は大きくなっていくと思います。
――機能面では、どのような点にメリットを感じていますか。
橋川:DIVAへの連携機能に助けられています。当社の場合は、個別財務諸表や相手先別明細などは、現地法人からあがってきた数値をそのままDIVAに連携しています。Excelなどでフォーマットを組み替える必要がないのは便利ですね。DIVA連携できることで、現地法人が担う入力業務の負担も減らせています。
また、multibookには月次締めの機能があるのですが、過去のデータを修正する必要が出てきたときに、現地側で連絡もなく勝手に決算数字を変更されると連結作業のやり直しが発生するため困ってしまいます。細かな点ではありますが、制御機能が備わっているのは連結決算作業の早期化のみならず、グループ間の内部統制という観点で助かっております。

平野:私は育児休暇から復帰後にmultibookを使い始めました。multibookのユーザビリティは非常にシンプルで、初心者にもわかりやすいと感じています。現地法人から質問があった際にしっかりとサポートできるように、今勉強中です。
――現地法人の方々の反響はいかがでしょう?
菱田:実は、導入済みの現地法人には「使用感」や「フォロー体制」「コスト面」などをヒアリングするアンケートをとっています。現時点では、5段階評価で、ほぼすべての項目が「4」以上の回答になっており、評価は高いです。このアンケート結果を日々の運用改善につなげることもできますし、導入済み企業の評価は、今後、他国への導入を進めていくときの説得材料になると感じています。現地の経理スタッフがどう思っているかについては、本社で把握しにくい部分ですから、このようなアンケートを活用し、ヒアリングしています。

共に機能改善に取り組みながら、効率的で透明性の高いグローバル会計基盤を築きたい
共に機能改善に取り組みながら、効率的で透明性の高いグローバル会計基盤を築きたい
――multibookの担当者については、どのような印象をお持ちですか。導入直後は頻度高くコミュニケーションをとっていたというお話でしたが、その後は、いかがでしょうか。
橋川:担当営業の川畑さんには、当社のわがままにも根気よく付き合っていただいて、レスポンスも早く、とても柔軟な対応をしていただいていますね。
菱田:導入直後だけではなく、その後も、コミュニケーション頻度は高いです。川畑さんは「出来ることは全部、一緒にやりましょう!」というスタンスでいてくださるので、頼りがいがありますし、信頼しています。
multibookの良さは、顧客のニーズに合わせて機能追加や改善をしてくださること。当社の声もキャッチアップしてもらって、細かな対応をたくさんしていただきました。一つひとつを説明するとキリがないくらいです。気兼ねなく相談させてもらっています。
――multibookを他社におすすめしていただけるとしたら、どのような会社にフィットしそうだと思われますか。
橋川:そうですね、当社のような海外に中小規模の現地法人を多数持つ会社に合うのではないでしょうか。とくにタイやシンガポール、オランダ、香港にはmultibookの拠点があり、サポートも手厚いです。それ以外の国も特別不便はなく、会計や税務要件が厳しくない国であれば、どの国でもフィットすると思います。
――最後に、今後multibookに期待することについて教えてください。
橋川:引き続き機能追加や改善をお願いしたいです。会計システムは日々利用するものですから、特に使用頻度の高いメニューの改善が大きな工数削減や効率化につながります。また、当社の場合は海外法人の駐在員が営業と兼務し、管理業務を行っています。ですから、利便性の向上により、できるだけ駐在員の作業負担や心理的な不安を軽減できればと思っています。
multibookは私たちにとって“日本発のシステムらしい、かゆいところに手が届く”サービスです。これからもmultibookと共に、現地や本社の負担が少なく、効率的で正確な会計システムをつくりあげていきたいと思っています。2022年度はさらに導入法人数を増やし、アジアの現地法人すべてにmultibookを導入する計画です。今後も引き続き、サポートをお願いします。
>海外拠点管理に最適なクラウド型会計・ERPサービス「multibook」に関する資料ダウンロードはこちらから。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/猪俣 奈央子)